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淡い泪

[574]  ルイン  2007-04-23投稿
 今日も負けた…

 体が寒い、頭がいたい、心が悲しい……

 こんなことの繰り返し。いつになったら自分を確かなものにできるのだろうか………




 高校に入り早いものでもう二年。
中学とはちがい楽しんだり、かなしんだり、笑ったり、つまずいたり、喧嘩したり、恋愛したり………
そんな期待に反して現実は僕にそっぽを向いていた。

 今年入る新入生。ソフトテニス部の選手兼マネージャーを任されている僕としては、なによりの楽しみになっていた。
そんな頃が懐かしい。
今では高校から始めたばかりの僕なんかは目もくれず、ダラダラと練習を続けている。

 二年生になって最初の大会……
苦しみ、もがいて、ただひたすらにボールを追いかけていた。
4−2。
この数字が意味しているものは敗北。
自分のペアは「気にするな、相手が悪すぎただけだ、よくやったよ、お前は……」などと気持ちと空回りしている言葉を口から押し出す。

 わかってるんだよ、僕だって……ごめんな……
電車の揺れと共鳴するように自分の心も揺らいでゆく。



電車のアナウンスで我に帰った。「もう新宿か…」自分の気持ちをすくいとったかのごとく、ボソッとした声がもれた。
ここで中央線に乗り換える。微塵も動きたくない自分にとってそれは苦痛でしかなかった。

人のドタドタと電車を降りる流れに身を任せホーム沿いの階段を上がる。電車の待ち時間が妙に永く感じられる。『電車の風でどこかへ飛ばされてしまいそうだ…まぁ、それもいいかもな』現実を突き付ける様に電車がホームへと滑り込む。

 ドアが開き、人がすれ違い、また乗り込む。こんなとこでいやになりそうなほど運がついていたのだろう。新聞を読んでいるサラリーマンとお年寄りのご夫婦が席に座っているだけ。あとは気味が悪いほど誰もいない。ドア近くの席に座り込んだ。

 「ドアが閉まります。ご注意下さい」笛の合図とともにドア閉まりかかる…その瞬間いきなりドアが開き、またいきよいよく閉まる。どうやら駆け込み乗車らしい。若い女子高生くらいの人がたっていた。

その子は席が沢山開いているというのに僕の隣に崩れる様に座り込んだ。別に駆け込み乗車くらいよくあることだ。僕は目を閉じて眠りにつこうとしていた。

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