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ナイト・オン・ドラグーン【93】話『闇の騎士』

[212]  みるく  2007-04-23投稿

とこしえの闇は常に自分の傍にあった。

それは何か特別に語り掛けてくる訳でもなく、害を及ぼすものでもなかった。

時が経つにつれその闇に愛着を覚えるようになった。

深い虚に光を一切赦さない黒き影は自分と似た所がある。

求めた力は既に手に入っていた。

己が目指す覇者への道は絶対なるこの力さえあればいいのだ。

強者のみが生き延びる世界、力なき者は滅びるのみ。

あと一歩。


世界の全てを握る覇者になるのだ。



だが…


ある愚か者のせいでその道は一回りも二回りも遠ざかってしまった。

手早に始末しておけばよかった。と、悔いいる。

−『竜の子…アインめが…』

封印騎士団、団長ジークはその名を呟く。


突然、部屋の扉が左右に開く。

−『た、大変です!ジーク団長閣下』

駆け込んできた部下のエリスは息を切らしひざまずく。

−『どうした、エリス』

エリスはいつにない冷静さを失っていた。

恐らくただ事ではないのだろう。


−『か、神風の封印が解かれました!守護者のジャックは討たれたとの情報です』

ジャックの名を聞いて、眉間に皺が寄る。

任務に旬し討たれた事に労いよりも”使えない駒”だと思った。

−『ふん。足止めもできなかったのか…まぁいい』

ジークの冷徹な言葉にエリスは絶句したような表情を一瞬浮かばせた。

『団長!?それはあまりにも…』

『殺ったのはアインだな』

『恐らく…』

エリスのその顔が蒼白になっていくのがわかった。

ジークは知っている、アイン、ジャック、エリスの三人は親しき仲だったということを。

−『迎撃体制を全軍に伝えろ。アインが次に来る場所はこの城だ』

−『はっ!』

足早に立ち去ろうとするエリスの後ろ姿を見据えた。

女性の身でありながら、自分の右腕に就く実力の持ち主なのだが、この娘は少々、戦う覚悟が足らない。

−『エリスよ、』

エリスは呼び止められ、肩が微動する。

−『…なんでしょう?』

−『女とはいえ、戦場に出れば皆、戦士。敵が友人であれど容赦するな。』

−『はっ!!』

エリスは扉のほうへと消えていった。



感想

  • 6895: 頑張れ! [2011-01-16]

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