暇の潰し方12
日下部佳奈理は、慣れだとか平常というものを好まない傾向にある。
彼女と出会って一月と少し、俺はそう確信した。会話の端々や行動から疑惑はあったが、今日のことで確定事項となった。
時間は少し戻って午後最後の授業中。
もうじき六月ということもあって日光が教室の空気をいい感じに暖める。
窓際の席の奴はつらいかもしれんが、俺の席は教室の真ん中。寒くもなく暑くもない、ベストなポジション。
結果、うららかな陽気に誘われて俺は眠りこんでしまうわけだが。
額に何かが当たった。寸前に見えたシルエットは、矢。
「うおおぉ!?」
教室中が俺に注目した。
無理もない。眠気を誘う先生ナンバーワンに選ばれた先生の授業の最中に奇声を上げて額を押さえてるのだ。
筆箱の陰に隠れたプラスチック製の矢に誰が気付こうか。
左斜め前、矢の飛んできた方向には、陽光を浴びて舟を漕ぐ日下部がいた。
そして今に至る。
クラスメイトの好奇の目や、教師の小言については俺のメンタル面を考慮して割愛しよう。
飛んできた矢には手紙が結んであった。矢文である。
言いたいことがあるなら普通に言えばいいものを、日下部は前述したように普通でない伝え方をしたわけだ。
「読みましたー?」
「すぐに確認するくらいなら普通に言いに来い。」
眠気をスッキリ消化した日下部がやってきた。
その目の前で手紙を開く。
『授業は寝ちゃダメですよ』
「…なんだろう、すごく理不尽な気がするぞ。」
というかそれだけの為に俺はあんな目に…いや、やめておこう。
「それにしてもあれですね。三人でも結構暇って潰せませんよね。」
高崎美玖はすっかり日下部の仲間という位置に定着していた。
「…そうかしら。」
遠巻きに見ていたミクが近付いてきた。
「この前、道に迷った修学旅行生と一緒になって大騒ぎしたからな。人数少なくて拍子抜けしてんだろ。」
「えぇ、やっぱり大人数で騒ぐのはいいもんですね。」
これは、ほぼ週二で行われる放課後意味なしディスカッション。駄弁って暇潰ししてるだけだ。
実際、普通のこともしてるんだな俺達って。圧倒的に変な事してる方が多いけど。
「ヒロ、どうしよう。カナちゃんの世界に付いて行けない。」
「俺も最初は律義に付いてったけどな。スルーしとけ。」
適当に相槌を打てば、日下部は楽しそうに話続けた。
無茶な内容はずっと変わらないけど。
彼女と出会って一月と少し、俺はそう確信した。会話の端々や行動から疑惑はあったが、今日のことで確定事項となった。
時間は少し戻って午後最後の授業中。
もうじき六月ということもあって日光が教室の空気をいい感じに暖める。
窓際の席の奴はつらいかもしれんが、俺の席は教室の真ん中。寒くもなく暑くもない、ベストなポジション。
結果、うららかな陽気に誘われて俺は眠りこんでしまうわけだが。
額に何かが当たった。寸前に見えたシルエットは、矢。
「うおおぉ!?」
教室中が俺に注目した。
無理もない。眠気を誘う先生ナンバーワンに選ばれた先生の授業の最中に奇声を上げて額を押さえてるのだ。
筆箱の陰に隠れたプラスチック製の矢に誰が気付こうか。
左斜め前、矢の飛んできた方向には、陽光を浴びて舟を漕ぐ日下部がいた。
そして今に至る。
クラスメイトの好奇の目や、教師の小言については俺のメンタル面を考慮して割愛しよう。
飛んできた矢には手紙が結んであった。矢文である。
言いたいことがあるなら普通に言えばいいものを、日下部は前述したように普通でない伝え方をしたわけだ。
「読みましたー?」
「すぐに確認するくらいなら普通に言いに来い。」
眠気をスッキリ消化した日下部がやってきた。
その目の前で手紙を開く。
『授業は寝ちゃダメですよ』
「…なんだろう、すごく理不尽な気がするぞ。」
というかそれだけの為に俺はあんな目に…いや、やめておこう。
「それにしてもあれですね。三人でも結構暇って潰せませんよね。」
高崎美玖はすっかり日下部の仲間という位置に定着していた。
「…そうかしら。」
遠巻きに見ていたミクが近付いてきた。
「この前、道に迷った修学旅行生と一緒になって大騒ぎしたからな。人数少なくて拍子抜けしてんだろ。」
「えぇ、やっぱり大人数で騒ぐのはいいもんですね。」
これは、ほぼ週二で行われる放課後意味なしディスカッション。駄弁って暇潰ししてるだけだ。
実際、普通のこともしてるんだな俺達って。圧倒的に変な事してる方が多いけど。
「ヒロ、どうしよう。カナちゃんの世界に付いて行けない。」
「俺も最初は律義に付いてったけどな。スルーしとけ。」
適当に相槌を打てば、日下部は楽しそうに話続けた。
無茶な内容はずっと変わらないけど。
感想
- 6906: 好きですよこの小説 [2011-01-16]
- 6950: 作者 ありがとうございます。自己満小説ではありますが、そう言って頂けると満たされます。 [2011-01-16]