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航宙機動部隊第二章・11

[472]  まっかつ  2007-04-25投稿
緑色に煌めく光条が、立て続けに走った。
リクは容赦しなかった。
容赦しようにも出来る状況でもなかった。
相手は武装した大の男四人だ。
しかも、恐らくは銃器の扱いに長けている。
幸いと言うべきか、観戦武官の射撃の技量は、ずば抜けた名手ではないが、第一線級の兵士として充分通用するレベルに届いていた。
熱い血が頭部に集まり、反面恐怖と緊張に満ちた寒さで身体中が小刻に震えるのを感じながらも、死を知覚した本能の成せる業か、自分でも驚く程冷静に、立て膝の構えを保ちながら、ハンドレイを撃ちまくったのだ。
全て狙いは胴体に向けて定められていた。
激しい興奮が、却って高い感性を呼び覚ましたのか、ライフルを構えた先頭の男の腹を撃ち抜くと、普段では考えられない位の素早さと巧みさで銃持つ右手をスライドさせながら、二人、三人と立て続けに光線で貫く。
一番後ろに着いて来ていた男が、反撃を試みた。
運と焦りが見方して、つんざかれた空気が右耳を掠め、千切れた漆黒の頭髪が何本か宙に舞ったが、リクは命中を免れた。
不思議とそれには動揺を感じる事なく、次発の用意をしている男に観戦武官は連射で返礼し、その戦闘力と、多分命を奪い去った。
銃撃戦は僅か三0秒で終りを迎えた。

リクはハンドレイを構えながら、今しがた射撃した男達の方へ近付き、かなり乱暴に連中のライフルを一つ一つ遠くにほん投げてから、全員その場で仰向けにした。
交戦中、飛び交うレーザーと弾丸を避けるべく、伏せながら頭を庇っていた人々が、ようやく起き上がり始める中、少年は襲撃グループの生死を確認した。
三人は即死していた。
中でも一人は腹を複数回的にされ、大きく切り裂かれた傷口からは血にまみれた腸がはみだして、赤煉瓦畳を汚していた。
そのグロテスクな光景に吐気を覚え、リクは左手で口元を覆ったが、やるべき事がショックに浸る猶予を与える訳がなかった。
『おいっ!何でこんな事をした!誰に頼まれた!』
虫の息だがまだ命のある一人の胸ぐらを鷲掴みにし、リクは問い質した。
これだけはどうしても聞いて置かなければならなかったのだ。
『うう…太…子党…フ…バ…エン…ジェ…ルミ』
パネルカードで録音を録るリクに、相手は途切れ途切れに答え始めたが
―ドシュッ
その男の背中から血しぶきが上がり、たちまち絶命した。

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