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年下の彼8

[599]  カトリ  2007-04-25投稿
優希の大学生活は充実していた。

新しい友人もでき、テニスサークルに入り、合コン、バイトも始めた。
一人暮らしにも少しずつ慣れて、一人でいる時間も寂しくなくなった。

恋愛観は変わってきていた。

学校やバイト先のファミレス、合コンでたくさん出会いはあったが、彼氏を作る気分にまで盛り上がらなかった。
同時に性欲も現れなかった。



心の底から愛しいと思える人…

そのような人が現れる日が、私にもくるのだろうか。
自分のすべてをさらけ出す事のできる相手。

その為には自分も変わらなくてはならないと、感じていた。

ただ、その為にどうすればいいかはまだ分からなかった。


7月になると、母から電話がきた。

『学校、もう休みに入るんでしょ??たまには帰ってきなさい。』

引っ越ししてきてからまともに帰ってなかった。
たまに、食事しに帰ったり、必要な物を取りに帰ったりする程度だった。


「んじゃあ、八月、バイト少し休みもらって帰る。」


八月、久々の我が家に帰省した。



「優、やせたな。」

正希がいう。

「そ?テニスまた始めたからしまってきたのかも。ちゃんと栄養はとってるよ。
正希は、背が伸びたね。」


父も母も、久し振りの一家だんらんに顔がほころんでいる。

正希も、部活を引退して今年の夏は受験勉強に打ち込んでいた。


「明日、航来るよ。
課題一緒にやるから。」


阿久津 航


忙しい生活の中で、忘れかけていたが、胸の奥の片隅にいつもあった存在。

「ふ〜ん。元気?航くん。」

自分の弱い部分を唯一しる人物。

「ん。女ができた。」


私の凛とした姿が好きだと言っていた男の子。


「もてそうだもんね。あの子。」


優希の心はざわついていた。

だが、自分でそれを否定し続けた。
動揺?


弱みを握られているから?


航がその事を、弱みとしてなんて考えていない事は理解していた。


それでも、航を拒絶した。


本当の自分を知られたくなかったから。



だが、自分は変わろうと決めた。
それでも、年下の彼を相手にそんなことはできる訳ないと思っていた。

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