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年下の彼11

[594]  カトリ  2007-04-25投稿
3月

桜の花の蕾がふくらみ始めた頃、春の心地よい風が二人を包む。


「何食べたい?」
「ん〜。迷うな。んじゃあ、お好み焼きとか?」


「了解。いい店あるから、行こう。」

優希は白いブラウスにベージュのカプリパンツ、一週間程前に、肩まで伸びていた髪をばっさりショートカットにした。


「髪、随分短くしたんだね。」


「うん。」

「俺が初めて、優希を見た頃もその位だった。」


「うん。テニスするとき、これが一番いいんだ。」


「長いのも、短いのも似合う。」

少し照れくさそうに航は言った。

そんな航を見て、逆に優希も照れてしまう。


「…ありがと。さっ!焼くよ!」


あっという間の一時。
お互いに聞きたかった事をたくさん聞いた。

誕生日、血液型、趣味、特技、好きな芸能人、歌手…

「優希、今、彼氏いるの?」


航が一番気になっていた事だった。
こんな事を聞いたら、優希に嫌われてしまうかもしれない。

それでも、聞きたかった。

知りたかった。


…自分に望みがあると実感したかった。


「いないよ。」


「そっか…」
航は安堵した。


「航は?」


「いるわけないっしょ。俺は、いつか優希が振り向いてくれるのを待つのみ。」



「……そっか。」

「別に焦ってる訳じゃないよ?」


「うん。」


「年の差は何年経っても縮められないけどさ…

俺、早く大人になるから。」


航が、どの位自分の事を想ってくれているのか、優希には胸が張り裂けそうになる程伝わっていた。



「じゃあ、航がN高のサッカー部でレギュラーになって、公式戦で得点決めたら。」


「優希…?」


優希は自分の気持ちを伝えたいとおもった。


「私を航の彼女にして。」


「……優希?」


航は動揺を隠せない。
言葉も出てこない。


「私、航が好き。」


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