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赤い月

[453]  akaoni0026  2007-04-26投稿
肌寒い風が吹く、春の夜のことだ。
私は友人の雅也(まさや)と、海岸沿いの公園を歩いていた。月光に照らされた綺麗な桜を見ながら、私と雅也はたわいもない話をしていたわけだけど、桜を照らすその月の色を見て、私と彼は妙な戦慄にかられた。
知っているだろうか?赤い月の夜は、どこかで血が散乱するということを。
少なくとも、私と彼はそれを知っていた‥。だから、その月を見て、彼と私は唖然とした。
そう‥‥その月はとても赤かったから‥‥鮮血を彷彿させる程赤かったから‥。
思い込みなどではない、疑う余地がない程、その月は赤かったのだ。
雅也がその空気をスッと自然に斬り入って、呆けた顔で言った。
「‥‥今日は何処かで、誰かが殺されるのか‥‥正直、ここまで赤い月は見たことがない‥‥だとすれば、尋常じゃない量の人が死ぬぞ‥‥」
彼の顔はあくまで呆けていて、その声も、決して真剣なものではない。しかしだからこそ真実味が増してしまう。彼が“そうゆう喋り方”をする時は、大概言っていることが当たってしまうからだ。
そんなことが実際にあれば大変どころの騒ぎではないだろう。大事件だ。大量殺人事件だ‥‥。
だが、私も馬鹿ではない。ちゃんとした頭がある。いくら面白そうなネタだからって、月が赤い日は人が死ぬだなんて迷信は、ハナから信じない。いや、信じてない。大体証拠がないんだ。もし赤い月の日に人が死んだとしても、私は、そうゆう迷信を現実にしようとするどアホウの仕業か、それとも偶然だろうと推測する。
‥‥‥でもここで彼に反発すると、またくどくど何か言われそうだしなぁ‥‥。
彼は自分の意にそわないことを言われると、それに対して自分の意見の正当性と言うか言い訳と言うかのセリフを、延々と語ってくれるのだ。
もしここで少しでも反発したら‥‥考えるだけでため息を吐きたくなる‥‥
さらに今は、んなもんで潰す時間がもったいないのと、早くこの話題を消したいのとで、ヤツに反発するのはさらに咎められる‥‥。
よし、しゃあない、ここは乗っとくか。
「そだね。一部の道路真っ赤になっちゃったりして」
そんな想像したくもないが、致し方ない。雅也は顔を面倒臭そうな顔をして、
「それじゃ交通事故だろ」
と、てのひらを、違う違うとばかりに振った。
「殺人だよ。それしかない」
‥こいつ何か期待してんのか‥‥?何考えてるんだろ‥‥
-続く-

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