赤い月 2
「殺人だよ。そうに決まってる」
‥‥こいつ、何か期待してるのか‥‥?何考えてる‥‥?
って、いやいや。そう言えばこんな話、日常茶飯事じゃないか。
道路をもの凄いスピードで走るバイクを見て、こければいいのにと言ってきたり、赤信号を渡る高校生にトラックが突っ込みかけて、ひかれれば良かったのにと言ってきたり‥‥そう、いつものちょっとしたダークな話。
‥‥けど‥‥
何だか、今日は寒い。
‥‥風が寒いのか?‥‥うん、頬に当たる風は、とても寒い。けど今日は、沢山着込んでいるから、体が冷えているということはない。
‥‥じゃあ何故寒い‥‥?
いや、分かりきってる。私は彼に脅えてるんだ。こんなことを言う彼に、今日は特別脅えてるんだ。
「ね、ねぇ。話変えようよ?あんまり不吉なこと言ってると、雅也君と私が襲われちゃうよ」
その時のなんとも言えない不快感に耐えきれず、私は雅也にそう言っていた。
だが何を思ってか、彼は口の端を持ち上げ、“ニィ”と笑ったのだ。そして
「そうだな。本当にそうなるかも」
言われた瞬間、ドクンッと心臓が嫌に高鳴った。
どうしてだろう‥‥ただ、赤い月を見て、それについて話していただけなのに‥‥ある感情が張り出した様に私に危険を訴える。
コイツといたら死ぬ‥‥って。
根拠も何もないけど、とにかく、間違いなく、私は彼に恐怖と焦燥を覚えた。
しかし彼とのことで、前にも似たような感覚に陥ったことがある。が、今感じている恐怖感は、その比ではない。
私はとっさに彼から距離を“取ってしまった”。
「?どうした?」
彼の心配顔と声。しかし目の奥で何かがクスクス笑ってる気がする。
彼は私が距離を取ったことに当然気付いて、一歩二歩私に向かって踏み出す。ここで「ちょっと怖くなって」とか言ってこの場を事なきにしていれば良かったのに、私は
「来ないでっ!来ないでよう‥‥!」
さらに距離を取ってしまった‥‥‥。
-続く-
‥‥こいつ、何か期待してるのか‥‥?何考えてる‥‥?
って、いやいや。そう言えばこんな話、日常茶飯事じゃないか。
道路をもの凄いスピードで走るバイクを見て、こければいいのにと言ってきたり、赤信号を渡る高校生にトラックが突っ込みかけて、ひかれれば良かったのにと言ってきたり‥‥そう、いつものちょっとしたダークな話。
‥‥けど‥‥
何だか、今日は寒い。
‥‥風が寒いのか?‥‥うん、頬に当たる風は、とても寒い。けど今日は、沢山着込んでいるから、体が冷えているということはない。
‥‥じゃあ何故寒い‥‥?
いや、分かりきってる。私は彼に脅えてるんだ。こんなことを言う彼に、今日は特別脅えてるんだ。
「ね、ねぇ。話変えようよ?あんまり不吉なこと言ってると、雅也君と私が襲われちゃうよ」
その時のなんとも言えない不快感に耐えきれず、私は雅也にそう言っていた。
だが何を思ってか、彼は口の端を持ち上げ、“ニィ”と笑ったのだ。そして
「そうだな。本当にそうなるかも」
言われた瞬間、ドクンッと心臓が嫌に高鳴った。
どうしてだろう‥‥ただ、赤い月を見て、それについて話していただけなのに‥‥ある感情が張り出した様に私に危険を訴える。
コイツといたら死ぬ‥‥って。
根拠も何もないけど、とにかく、間違いなく、私は彼に恐怖と焦燥を覚えた。
しかし彼とのことで、前にも似たような感覚に陥ったことがある。が、今感じている恐怖感は、その比ではない。
私はとっさに彼から距離を“取ってしまった”。
「?どうした?」
彼の心配顔と声。しかし目の奥で何かがクスクス笑ってる気がする。
彼は私が距離を取ったことに当然気付いて、一歩二歩私に向かって踏み出す。ここで「ちょっと怖くなって」とか言ってこの場を事なきにしていれば良かったのに、私は
「来ないでっ!来ないでよう‥‥!」
さらに距離を取ってしまった‥‥‥。
-続く-
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