MURASAME
吸血鬼無想?
「それで…?」
不機嫌そうな顔で蔵王丸が聞き返し、天馬と幸司は思わず息をのんだ。
「…始祖をレイナが倒しまして…一応、暴走の危機は去りました…でも、大部分が凶暴化してまして…やむを得ず…」
天馬が言葉を濁す。霧燈島から帰還した3人は重傷を負ったレイナ以外、ひさびさに本部に顔を出していた。
「…先発隊は全滅…おまけに君達が暴走した吸血鬼をバカスカ斬って四百人はいた吸血鬼が今や、半分以下…」
蔵王丸は頭を押さえブルブルと肩を振るわせる。二人はその姿に恐れをなし、逃げ出そうとする、が入口で待ち構えていた咲子に捕まり部屋に押し込まれた。
「……本部からの伝達…二人とも…減棒五ヶ月…」
蔵王丸が冥界から絞り出すような声で言った。二人は真っ白になりその場に突っ伏した。
爽やかな風が吹き込んでくる。風に紛れ、ほのかに潮の香りが広がった。レイナは港にただずんでいた。再び、棺桶を背負って。
風が彼女の髪をふわりと包み、彼女の金色の髪が美しく靡いた。
「もういっちゃうんですか?」
後ろを振り返ると咲子が立っていた。にこやかに微笑を浮かべた姿が美しく感じられた。
「ソフィアは殺した。もう…この国に用はないわ…」
「レイナさん…」
「ところで、あの二人は?」
レイナは咲子の周りを見回すがそれらしい人物がいない。
「ちょっと用事があってね…残念だけど…」
「……そう」
レイナが呟やくと水平線の向こうから船がやってきた。どうやら、別れの時がきたらしい。
「…これから、どうするんですか?」
「…しばらくは色々考えてみる…その内またヴァンパイアハンターでもしながら暮らしていくわ」
「そうですか…」
船が港に着いた。彼女は棺桶を引きづりながら咲子に笑いかけた。やがてその笑顔は船内に消えていった。
吸血鬼無想 終
「それで…?」
不機嫌そうな顔で蔵王丸が聞き返し、天馬と幸司は思わず息をのんだ。
「…始祖をレイナが倒しまして…一応、暴走の危機は去りました…でも、大部分が凶暴化してまして…やむを得ず…」
天馬が言葉を濁す。霧燈島から帰還した3人は重傷を負ったレイナ以外、ひさびさに本部に顔を出していた。
「…先発隊は全滅…おまけに君達が暴走した吸血鬼をバカスカ斬って四百人はいた吸血鬼が今や、半分以下…」
蔵王丸は頭を押さえブルブルと肩を振るわせる。二人はその姿に恐れをなし、逃げ出そうとする、が入口で待ち構えていた咲子に捕まり部屋に押し込まれた。
「……本部からの伝達…二人とも…減棒五ヶ月…」
蔵王丸が冥界から絞り出すような声で言った。二人は真っ白になりその場に突っ伏した。
爽やかな風が吹き込んでくる。風に紛れ、ほのかに潮の香りが広がった。レイナは港にただずんでいた。再び、棺桶を背負って。
風が彼女の髪をふわりと包み、彼女の金色の髪が美しく靡いた。
「もういっちゃうんですか?」
後ろを振り返ると咲子が立っていた。にこやかに微笑を浮かべた姿が美しく感じられた。
「ソフィアは殺した。もう…この国に用はないわ…」
「レイナさん…」
「ところで、あの二人は?」
レイナは咲子の周りを見回すがそれらしい人物がいない。
「ちょっと用事があってね…残念だけど…」
「……そう」
レイナが呟やくと水平線の向こうから船がやってきた。どうやら、別れの時がきたらしい。
「…これから、どうするんですか?」
「…しばらくは色々考えてみる…その内またヴァンパイアハンターでもしながら暮らしていくわ」
「そうですか…」
船が港に着いた。彼女は棺桶を引きづりながら咲子に笑いかけた。やがてその笑顔は船内に消えていった。
吸血鬼無想 終
感想
- 6911: 良かったです [2011-01-16]
- 6921: いやぁ 面白かったです! あいじさん また次を期待してます。 [2011-01-16]
- 6942: かなり面白い [2011-01-16]