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恋旅 〜出会い〜

[386]  あい  2007-04-29投稿
君の笑顔を知ってしまった僕は、もう後戻り出来ない。
君の笑顔。
君の涙。
君の全てを..。
ちょうど1年前の今日、五月、初夏のむし暑さに満員電車という最悪の組み合わせに、僕は一人いらだっていた。
あの日のことは今でも恐いくらい鮮明に覚えている。
受験生に成り立てのころ、母さんに無理強いされて仕方なく、大して行く気もない大学のオープンキャンパスへと重い足を運んだ。
G.Wというのもあってか、吊革につかまることすら出来ない満員電車の中で、朝から憂鬱な気分だった。
駅から10分ほど歩いてK大学に着き、僕のような高校生たちの群れに潜んで構内をぶらぶらと見歩いた。
どこも中身なんて似たりよったりだ!と、10分も経たないうちに飽きてしまい、外へ出て広い校庭を散歩することにした。
前日が雨だったせいか、地面からはなまぬるい空気が広がっていて、一刻も早く帰りたいと思った。
でも、その時一瞬、僕の前を涼しい風が吹き通った。
それが、咲との出会いである。



咲と目が合った。
周りには誰もいなかったので、ベンチに遠慮がちに座っている咲に軽く会釈し、
「ここの生徒さんですか?」と僕は尋ねた。
咲は『えっ?』と少し間をおいて、
『私まだ高3ですよ。私服だからかなぁ。小川咲って言います。』
しまったぁ〜。名前も言わずに失礼だったと思い、慌てて言う。

「あっ、長谷川修一です。じゃぁタメだね。」

私服とは言え、清楚で落ち着いた感じの咲は、僕の周りの女子よりいくらか大人びている。
鎖骨が隠れるほどの柔らかい栗毛色の髪に、透き通るような白い肌。笑うと目尻の横にかすかにできるシワに、左右不同のえくぼに僕は思わずみとれてしまった。
このときからすでに、僕の旅は始まりを合図していたみたいだ。

【続】

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