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航宙機動部隊第二章・15

[489]  まっかつ  2007-04-29投稿
警備隊長は躊躇を示した。
『だ…だが、この者の容疑は明白。今更憲兵の容喙等、有難迷惑…』
その台詞に接して、ムハマド=ハザイの黒い瞳がきらりと光った。
『で、あるからこそ、我々が責任を持って彼の身を引き受けます』
『何を増長を!この船の治安を守るは私だ!職権乱用も甚だしい!』
『ほう…では、このテロを防げなかった全ての責任は貴方が負われると?』
『…ぐっ』
警備隊長は言葉に詰まった。
そこへ大佐は相手の耳元に口髭を寄せて、止めを刺した。
『現在、船内映像記録は一通り押さえ、急ぎ分析中でしてな。事と次第によっては、取り締まる側が検挙される何て馬鹿げた事態になりはしまいかと、いささか心配しておるのですよ。私はね。ですがそれは本意じゃない。穏便に運ぶよう取り計らって差し上げたいのだが、それは貴方の対応にかかっている。如何ですかな』
威嚇にしては真実味満点だったし、提案と受け取るにしても物騒な補足が至る所に用意されていそうな言い振りだった。
『あ…おいこら、貴様!』
警備隊長が片手を挙げて、リクの解放を合図するのを見て、フーバー=エンジェルミは声を荒げた。
『こんな勝手なマネしやがって…この僕にたてつくつもりか?お前も!』
噛みつく太子党総帥に、しかしハザイ大佐は完全無視を保ち、
『では、リク=ウル=カルンダハラ観戦武官首席。私に付いて来たまえ』
今度はさっきのより、より精悍そうな憲兵二人に左右を挟まれて、拘束こそ無かったものの、そのままリクは噴水とは反対側―車両用出入口へと連行されて行った。
『ふんっ、良いさ!憲兵も共和国宙邦もこの僕が踏み潰してやるよ。この銀河では血筋こそが全てを決めるんだ。それを思い知らせてやるよ、賤民共が!』早足で立ち去る彼等の後姿に、幼稚だが陰険さで毒々しく染められた罵声が投げ付けられた。

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