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綺麗な涙【?ありがと。】

[333]  ピアニッシモ  2006-02-14投稿
『この手紙、健司が自分が死んだら渡してくれ、って私に預けたものよ。』
彼のお母さんは、泣きやんだ私が手紙を受け取ると言った。
私は黙って手紙を開けた。
すぐに、彼の癖のある丸っこい字が目に入った。

【みぃへ。
みぃがこの手紙を読んでいるってことは俺、やっぱり死んだんだね。
悲しませてごめん。
この手紙にすべてを書くから読んでな。

実は、俺が記憶を失ったってゆうのは全部うそだった。
でもそれにはわけがあったんだ。

みぃと付き合ってからすぐに、ある病気にかかってて、あと少ししか生きられないと知った。
でも、どうしてもみぃにそんなこと言えなくて、時間はどんどん過ぎていった。

そして、入院前日になって本当のこと言うぐらいなら、記憶がなくなったってうそをつこうと決めたんだ。
そうしたら、みぃは俺のことなんて嫌になるだろうと思ったから。確かにみぃは傷つくだろうってわかってた。
でも、このまま俺が死んだとき、みぃが負う傷に比べたら、なんともないように思えたんだ。
情けない考えだけど、みぃを傷つけるのが怖かった。
俺は真剣だったんだよ。

実際、みぃは俺を見捨てなかったな。
びっくりしたし、嬉しかった。
何回か突き放そう、と思ったけど・・・、出来なかった。
俺に向けてくれるみぃの笑顔を失いたくなかったんだ。

本当にごめん。
俺のせいで倍悲しませた。

でも、後悔はしてないよ。
だって、みぃといた時間はどんなに体が辛くても楽しかったから。本当に、幸せだったから。】
私の目から涙が流れた。
私だって、楽しかったよ。
幸せだったよ。

【死んでから言うのも変だけど、みぃのことが大好きだよ。
でも、俺はもうみぃを幸せにすることは出来ない。
だから、俺のことを忘れろ!
そして、自分で新たな幸せをつかめ!
俺が言いたいのはそれだけだ。
絶対、幸せになれよ。俺の分までなっ。

・・・。みぃ、今泣いてるだろ。】
彼は、やっぱり私のこと、わかってくれる。

【最後だから言うけど、笑った姿が一番だった。けど、泣いた姿も俺は好きだったよ。
とても、綺麗だったから。みぃの涙。
ずっと、俺には勿体ないって思ってた。
そんな、綺麗な涙を俺のために流してくれてありがとう。

健司より】

次回、再終話です。


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