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Love of Thousand 第一話

[191]  秘谷 灰猫  2007-04-29投稿
Chapter ?:First Contact

『よくお聞きなさい、幼き天使達よ。お前たちはやがて、世の人々を見守り、そのよき導き手となるのですよ』
光の中から聞こえた声の主は、暖かな光を発しながら俺たちを包む。柔らかく優しい...
母なる存在『マザー』−人間の言葉で『神』と言うらしい−は微笑んだ。
『さぁ、行きなさい、天使たち。行って人々を正しき道へと導くのです』

あれから永い月日が流れて...その間に知ったことや悟ったことは沢山ある。どれだけ俺たちが頑張って叫んでも人の心には届かなくて、人は過ちを犯し続けその罪を重ねていく...
それはまるで鎖のように人を縛りつけ、その身を捕らえて放さない。
このまま俺は、ただ見守るだけになってしまうのだろうか?
ふと、下界を映す鏡に目をやる。
広い墓地で一人の少女が泣き崩れていた。身にまとっているのは黒衣のドレス...
あぁ...この少女にも鎖がついた...
親しきものの死と言う鎖をかせられて、彼女はこれから生きていかなければならないのか...
胸が、酷く痛む...
もうこんな光景は見慣れたはずなのに、この胸の痛みは何だ?

この胸の痛みは...

それから毎日、俺は彼女を見守り続けた。
『幼き天使達よ、よく聞くのです。貴方たちにはいくつかの禁忌があります。これは決して破ってはならぬものです。』

天使の禁忌...

それは...

人間を愛してはいけない

もし、少しでも違えれば...

『もし、少しでも違えれば...貴方たちの天使の証である翼は徐々に抜け落ち、その体は光の粒となって消えてしまうでしょう...』

分かってる、自分が間違いを犯しかけているのは...
けれど...
還らぬ人を想い泣き続ける彼女を俺が救えるのなら...

何だってしよう...何にだってなろう...

まだ見ぬ君の微笑が見れるなら...

悪魔に魂を売ろうと、この世の全てを敵にまわしてもかまわない...

俺は静かに地上に降り立った。初めて降り立った地上で最初に目にしたもの、それはまさに彼女が自ら命を絶たんと飛び降りた瞬間だった。
自らの翼を広げ、慌てて彼女の手を掴んで抱きとめる。眠り姫のように意識を失った顔を見つめ、零れた涙の跡を見つける。

あぁ...願わくば、彼女の行く先に幸多からんことを...

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