恋旅?〜桜の木〜
咲はおとなしい印象を持っていたが、親しみやすい笑顔で、優しい声をしている。
他愛もない会話だったけど、気づけば僕の頬は緩んでいた。
『私ね、この大学にどうしても入りたいんだ。』
遠くを見つめて、どこか寂し気に咲は続ける。
『私、小さい頃から写真が好きだったの。撮るのも、撮られるのも、誰かが撮ったのを見るのも。
この大学って、季節を感じる木や花がたくさんあって、とくにあの桜の木に惹かれちゃって。』
咲は校庭の隅っこにある、大きな一本の桜の木を指さした。生い茂った葉が揺らめいて、太陽に照らされている。
『そんな理由で進学かって、親に呆れられちゃったけど、どうしてもあの木と一緒に大人になりたいの。』
そこまで言って、我に返ったように咲は赤面しながら言う。
『やだ、あたし‥ごめんね。自分の話ばっかり。こんな小さな夢、笑っちゃうよね。』
「いや、きっと間違ってないと思う。ちっちゃい夢だろうと、僕にはそんな目標すらないから、正直羨ましいよ。」
僕はいつもの選んだ言葉ではなく、思ったままに返した。
自分はいつも中途半端だった。適当に、行き当たりばったりで、何の焦りもなく、あまりにも普通過ぎる高校生だった。周りも普通の友達ばかりで、咲の言う小さな夢も僕には、何か熱いものに感じられた。明らかに、僕は彼女に圧倒されてた。
だからといって、写真に食い付くことはなかったが、咲という目の前の女のコ興味を抱いた。
そろそろ、と咲は立ち上がり『また、会えたら良いね。』と言って、立ち去った。
僕は見えなくなるまで彼女の後ろ姿を見て、逆方向を歩き出した。
気がつくと、頬がかすかに熱っていた。
【続】
他愛もない会話だったけど、気づけば僕の頬は緩んでいた。
『私ね、この大学にどうしても入りたいんだ。』
遠くを見つめて、どこか寂し気に咲は続ける。
『私、小さい頃から写真が好きだったの。撮るのも、撮られるのも、誰かが撮ったのを見るのも。
この大学って、季節を感じる木や花がたくさんあって、とくにあの桜の木に惹かれちゃって。』
咲は校庭の隅っこにある、大きな一本の桜の木を指さした。生い茂った葉が揺らめいて、太陽に照らされている。
『そんな理由で進学かって、親に呆れられちゃったけど、どうしてもあの木と一緒に大人になりたいの。』
そこまで言って、我に返ったように咲は赤面しながら言う。
『やだ、あたし‥ごめんね。自分の話ばっかり。こんな小さな夢、笑っちゃうよね。』
「いや、きっと間違ってないと思う。ちっちゃい夢だろうと、僕にはそんな目標すらないから、正直羨ましいよ。」
僕はいつもの選んだ言葉ではなく、思ったままに返した。
自分はいつも中途半端だった。適当に、行き当たりばったりで、何の焦りもなく、あまりにも普通過ぎる高校生だった。周りも普通の友達ばかりで、咲の言う小さな夢も僕には、何か熱いものに感じられた。明らかに、僕は彼女に圧倒されてた。
だからといって、写真に食い付くことはなかったが、咲という目の前の女のコ興味を抱いた。
そろそろ、と咲は立ち上がり『また、会えたら良いね。』と言って、立ち去った。
僕は見えなくなるまで彼女の後ろ姿を見て、逆方向を歩き出した。
気がつくと、頬がかすかに熱っていた。
【続】
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