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暇の潰し方14

[224]  あこん  2007-05-01投稿
「それはですね…。」
日下部佳奈理は両手を腰にやり、胸を張って口を開いた。
なにやら既視感を感じないでもないが、とりあえずいいだろう。
「それは?」
「それは…。」
「…それは?」
「……そ」
ぐい。
「話を進めなさいな。」
高崎美玖が日下部の腕を取って背後に回る。
「いえ、笠木くんは焦らされるのもお好きなようでしたから。」
「そんな性癖が露呈するような状況があったか!?」
デタラメであることを祈る。
ふと気付くと、ミクに掴まれた日下部の腕は、かなりの高さまで上がっている。
この辺で本題に入らなければ日下部の左肩が外れてしまう。
「で、こんな雨の日に外で何するんだ?」
本当のことを言っておけと視線に込める。伝わったかは定かでないが。
「雨の日、て普段と色々と状況が違うでしょう?」
日下部も自分の腕が惜しいようで、 ちゃんと語り出す。
「ですから雨天限定散策と行こうかと。」
…思ったよりも大人しい暇潰しだ、とは俺の感想。
「雨の日に、歩き回るの?」
とはミクの言い分。
…普通の思考ではそうだよな、普通歩きたくないよな。まずい、まずいぞ。何やら俺の脳が毒されている。
毒電波か?はたまた空気感染するウイルスか?
なんにせよ、俺の価値観は日下部のそれと似通って来ているようだ。
だが、グラウンドをひたすら掘ったり、校門前にストーンヘンジを建てようとするよりは、非常に大人しくて謙虚な暇潰しだと思うのだが。
「かたつむり、かえる、ミミズ。普段見れないものが沢山!」
「私はどれも見たくないけど。」
ミクは自分はやらない、との意思を見せるが日下部にそんなもの通用しない。
「今日ってなにか予定あります?」
「ううん。」
「もちろん傘もありますよね?」
「登校の時から降ってたしね。」
ミクの両手をがしっと握る。
「じゃ、行きましょう。」
多人数で遊ぶ方が楽しいと覚えた日下部は、親しい友人であるミクを放すわけがないのだった。
俺に至ってはあんな押問答もない。強制だ。
「では放課後に!」
町内を歩き回るのに、寝不足の状態は最悪のコンディションではなかろうか。
日下部には、今度から事前連絡を入れるようにしていただきたい。
『明日何か思い付くかも』程度で構わないから。
そして授業はあっという間に終わった。頭に入っているか怪しい。
雨は、未だに降り続けている。

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