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曇りゆく視界の中で

[332]  2006-02-15投稿
あなたの顔を見れなくなって3ヶ月。振られてからもう3ヶ月。振り向いてくれなかった理由は親戚だから?好みじゃないから?どっちにしたってあの時からまともに顔なんて見れてない。近くにいたって目さえ合わさず、あなたの声だけ感じてる。
「明日学校?」
「うん。」
「こんな時間まで起きてて平気?」
気遣ってくれるのは「皆に優しい人」だから。私にだけじゃないっていうのはわかってる。でもあんまりかまわないで欲しい。せっかく気持ち…消したのに。
「もう、寝るね。」
逃げた私にあなたの一言。
「メガネ…いらないならはずせばいいのに。かわいくなくなる。」

「誰のせい?」って言いたかった。私の気も知らないで「何もなかった」顔をして、話しかけるあなたが見えないようにかけたメガネ。いっそ全てがぼやけて見えてしまえばいいのにって本気で思ってたらとうとう裸眼で景色も見れなくなってた。
「元はいいのに台無し」
「じゃあ、どうしてごめんって言ったのよ!」
さっきの苛立ちにまかせて思わず放った冷たい言葉。こんな自分も嫌いなはずで、だからメガネで隠したはずで。
「ごめん…何でもない。」
逃げても無駄なのに懲りずにあがいてる。自分の性格に。あなたの優しさに。
「ごめん。」
私の腕をつかんであなたは言った。またも振られた私は涙がこぼれてくる。
「違うから!そうじゃないから!」
慌てたあなたはうつむく私に必死で言葉をつないでる。
「ごめんっていうのは…身内だからって事で踏み切れなかったからで…。」
「………。」
「俺、誰にでも優しくできるような人間じゃないし…。」
「………。」
「だから…。」
「………。」
私のメガネを取ってキス一つ落とすあなた。抱かれた肩が…暖かい。
「ほんとはこういうことだから……今まで…ごめん。」

今、自分がどれだけ情けない顔をしているのかはわからないけれど

曇りきった視界の中で、あなたの笑顔が見えてる。

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