ナイト・オン・ドラグーン【97】話『衝突』
入口を固めていた護衛兵を倒し、ようやくアインとマナは天時の城の扉を開け放った。
赤い絨毯がまっすぐに白い内扉まで続いている。
他に兵の姿はない。外ではまだリリーナ達が応戦しているというのに、内部は静かだった。
−『あの扉の中が神殿になっています。たぶん…』
低く告げるマナの声がひどく緊張している。
杖を構えたまま、マナがゆっくりと歩を進める。
何かの気配を感じるのだろうか。
最初の頃は気付かなかったが、マナは人並み外れて物音や気配に敏感だった。
そのマナが警戒しているのだから、扉の向こうに何かがあるに違いない。
白い扉に手をかけ、どちらからともなく視線を合わせる。
マナがうなづく。
アインは静かに扉を押した。
−『ついにここまで来たか、アイン』
ジークだ。扉を開けるなり、目に飛び込んできたのは。
そして、その傍らに控えているのは、槍を手にしたエリスだった。
アインが剣を構えるのを見て、エリスがジークの前へと進み出た。
ジークを背に庇うようにして槍を構えるその姿。
アインが騎士団を抜けたときからわかっていたが、こうしてはっきりと敵味方に別れて対峙してみると、やはり胸の奥が痛む。
−『アイン……。まだその女と!』
抑えた声色ではあったが、そこには紛れもなく怒りがあった。
−『ジャックを…殺したそうね。』
−『あぁ…俺は親しき友を殺した。』
−『何を考えているの?あなたは何を見ているの?わからない…わたくしにはわからないわ』
−『俺はただ、苦しんでいる人達を放っておけないだけだよ』
逃げたくても逃げられず、不毛の地で死を待つ人々。
母親の腕の中で死んでいった幼子。
そういった人々を見て、何かせずにいられなかった。
−『そんなこと!わたくしだって!だからこそ、封印騎士団として日夜…』
−『封印騎士団の中にいたら、見えないことだってあるんだ!』
−『嘘よ!言い訳だわ。封印騎士団が行うことに間違いなどありません!間違ってるのはあなたよ、なにもかも!!』
エリスは槍を握る手に力を込めた。
避けられない、想い人との衝突の時を待ちながら…
赤い絨毯がまっすぐに白い内扉まで続いている。
他に兵の姿はない。外ではまだリリーナ達が応戦しているというのに、内部は静かだった。
−『あの扉の中が神殿になっています。たぶん…』
低く告げるマナの声がひどく緊張している。
杖を構えたまま、マナがゆっくりと歩を進める。
何かの気配を感じるのだろうか。
最初の頃は気付かなかったが、マナは人並み外れて物音や気配に敏感だった。
そのマナが警戒しているのだから、扉の向こうに何かがあるに違いない。
白い扉に手をかけ、どちらからともなく視線を合わせる。
マナがうなづく。
アインは静かに扉を押した。
−『ついにここまで来たか、アイン』
ジークだ。扉を開けるなり、目に飛び込んできたのは。
そして、その傍らに控えているのは、槍を手にしたエリスだった。
アインが剣を構えるのを見て、エリスがジークの前へと進み出た。
ジークを背に庇うようにして槍を構えるその姿。
アインが騎士団を抜けたときからわかっていたが、こうしてはっきりと敵味方に別れて対峙してみると、やはり胸の奥が痛む。
−『アイン……。まだその女と!』
抑えた声色ではあったが、そこには紛れもなく怒りがあった。
−『ジャックを…殺したそうね。』
−『あぁ…俺は親しき友を殺した。』
−『何を考えているの?あなたは何を見ているの?わからない…わたくしにはわからないわ』
−『俺はただ、苦しんでいる人達を放っておけないだけだよ』
逃げたくても逃げられず、不毛の地で死を待つ人々。
母親の腕の中で死んでいった幼子。
そういった人々を見て、何かせずにいられなかった。
−『そんなこと!わたくしだって!だからこそ、封印騎士団として日夜…』
−『封印騎士団の中にいたら、見えないことだってあるんだ!』
−『嘘よ!言い訳だわ。封印騎士団が行うことに間違いなどありません!間違ってるのはあなたよ、なにもかも!!』
エリスは槍を握る手に力を込めた。
避けられない、想い人との衝突の時を待ちながら…
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