ひまわり
気が付いたら、30歳を越していた。結婚をして、家庭を築いている。日々、仕事、仕事、仕事。睡眠時間5時間にも慣れた。いつも体はだるい。それでもいい。どうでもいいと思っていたんだ。そして、また春が訪れようとしていた。そんな、季節が変わりかけている時期に、僕は彼女に出会った。すみれだった。 僕の住んでいる街は、東北唯一の100万人都市だ。中心部のアーケードはいつも人で混み合い、休日はごったがえす。ずっとこの街に住んでいるのに、郊外に住んでいる事もあり、たまにしか行かない。小さい頃母親と来て、迷子になりかけた。それがトラウマになったわけではないが、もともと流行にはうとい方だし、出無精だし、人込みが嫌いだ。ただ僕の妻が行きたいと言う時は、行く。 3月になり、日も長くなってきている。今年はやけに暖かくて、普段でさえあまり雪の積もらないこの街は、いっそう東北じゃないみたいだ。そんな風景を見ながら車を走らせている。寒がりな僕は、深刻な地球温暖化云々、暖かい今年の冬を心の中で歓迎していた。
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