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桜の微笑む丘 3

[300]  イーペイ粉  2007-05-02投稿
ただ気が付くと草の上に突っ伏していて、気が付くと日も沈みかけていた。桜はやはり僕の傍に、僕を覆い隠すように立っていた。
「あ……ごめんよ桜! 僕はもう帰らなくちゃ。ほんとにごめんよ」
 ぼくは桜に背を向けて駆け出した。途中でもう一度、茜色の桜が見たくなって振り向いた。
「また来るからね! ありがとう!」
 夕陽に染まった美しい桜を目に焼き付けて、僕は家路についた。
 母は怒っているかもしれない。父に会ったら確実に殴られるだろう。でも構わなかった。今日桜に会っていなかったら、僕は発狂していたかもしれない。
 この坂道を振り返れば桜がいる。でも振り返らない。またいつか、今日みたいに桜に泣きつく日がくるんだろうけど、その時までは頑張ろう、頑張れると思った。
 綿のような入道雲が、空の高いところで積み重なっている。藍色にくすんできた東の方には、薄い月が浮かんでいた。ひゅうと少し冷たい風が吹いて、僕は知らずに体が震えた。
 この風に揺られる桜の姿を思い描いた。それは僕の頭の中でいろんな方向へ変化していき、僕は自分で頬が緩むのが分かった。
 誰にも見せられない、僕だけの桜。ちょっぴりの優越感を感じながら、僕は玄関の戸を開けた。

      桜の微笑む丘

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