誰かの声
仕事はリストラされ、恋人にも逃げられ、アルバイトの面接も続々と落ち
今夜、自分の部屋で死のうと思っていた。
「ミャー」
飼い猫のミィが散歩から帰ってきた。
ミィ、悪いけど先に逝かせてもらうよ。
ドアノブにベルトを掛け、首にくくりつける。
「母さん、父さん、ごめんね。」
ベルトに全体重をかけようとした時だった。
「マサト・・・。」
・・・!
ドア越しから声が聞こえてきた。
謎の声は続ける。
「生きていれば必ずいいことがあるよ。」
「誰!?」
ドアノブにくくったベルトを外し、部屋から出た。
玄関に向かうミィの姿しかいない。
「ミャー」
ミィは顔だけ振り返り僕を見た。
「さっき散歩から帰ってきたのにまた散歩しに行くのかよ。」
「ミャー」
しばらくミィは僕を見つめ外へ出ていった。
ミィはそれ以来、散歩から帰ってこない。
これは僕が体験した本気の話です。
感想
- 6986: 私、猫が大好きです!猫ちゃんが思い留まってほしいと思って、話しかけてくれた。と、信じたいですね(^O^)真希 [2011-01-16]