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暇の潰し方15

[232]  あこん  2007-05-02投稿
俺、笠木広人と日下部佳奈理に高崎美玖は、雨が降る町内を歩き続けていた。
会話しながら歩く三人組はどう見ても普通の高校生グループだ。
…普通すぎて落ち着かん。
つまらないわけではない。日下部の独特の観点から街を眺めると確かに新鮮だし、日下部とミクの掛け合いも飽きることはない。
楽しさの合間に、ふと思うのだ。
これは、日下部の嫌う日常なのではないか、と。普通の情景ではないか、と。
休憩に立ち寄ったコンビニで、俺は日下部に尋ねてみた。
「お前、こういう日常に飽きてるんじゃなかったのかよ?」
「はい?」
日下部は、ドリンクを物色しながら首をかしげる。
ちなみにミクはトイレに行っている。こんな話、日下部以外とはしない。
「…これって、日常なんですか?」
「いや、世間的には普通の行動じゃないのかな、てな。」
日下部はガラスの向こうの緑茶を見つめながら考え込む。
「…でも、少なくともこれは、私の日常ではなかったですよ?」
「…え?」
振り向いた日下部の笑顔には寂しそうなものが漂っていた。
「…それってどういう」
事だ、と続けようとした所でミクが戻って来た。日下部はにこりと微笑むとお茶を持ってレジへ向かってしまった。
駄目だ、全くわからない。
日下部の、変えたかった日常って何なんだ?なんであんなに自嘲めいた笑い方をする?
わからない、わからない。
前を歩く日下部は、心から楽しそうにミクと笑い合う。
時折、俺にも話がフられるが大した返事は出来なかった。
そして、俺から注目が逸れると思考はまた元に戻る。
こんな普段の情景が、日常じゃない、てどういうことだ。
疑問が顔に出ていたか、こちらを見た日下部が、仕方ないなぁとでも言いたげに嘆息する。
「今日の所はそこの和菓子屋さんに行って解散しましょうか。」
「…。」
「あら、珍しくヒロが過剰反応しない。」
日下部の真意が分からないまま、大きな道路に面した小さな和菓子店に向かう。
「こんな所にこんな店があったのね。」
俺も知らなかった。家から反対側だし仕方ない。
「おいしいんですよー…あ、定休日だ。」
「カナちゃん、心なしかヒロが落ち込んでるわ。」
「お詫びに今度奢りますよ。これは私の非ですし。」
一連の言動にわざとらしさを感じたのは俺の気のせいだろうか。
学校の近くまで戻って俺達は解散した。
いつしか雨は止んでいた。

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