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暇の潰し方17

[213]  あこん  2007-05-02投稿
私の家は、親の仕事の都合で引越しが多かった。長くても半年ほどで別の土地へ移る。
結果、親しい友人も皆無。
親が共働きな事もあって、私は独りで過ごすのが常だった。
つまらなかった。
退屈だった。
学校に行っても、私は独り。
途中から転入する私は孤立しやすかった。
人付き合いも苦手だったかもしれない。
なんとか友人が出来てもその頃には転校してしまう。
いつも、私は独り。
独りでいる事が当然。それが…。

「それが、私の日常でした。」
日下部佳奈理は、常にはない伏せた面持ちで話した。
いや、今の話からすると、この表情が日下部の本来の姿なのかもしれない。
「…ごめん。」
「え?」
「…なんか俺、誤解してたな。お前の事知りもしないで勝手な事言った…気がする。」
このように、友人と遊んだり、話したりすることは、日下部にとっては常ではないのだ。
日下部が暇潰しと称する今までの行動は、しょうがなくしてたのではなく、したかったからしてきたのだ。
考えてみればわかる。
幾度も行われた散策だって、高校では奇行と思われてる行動だって、子供の頃、経験したようなことばかりだった。日下部以外は、誰しもが。
「…高校の入学式、私は運良く参加出来ました。親の仕事も安定したようです。」
確かに、日下部は転入ではなく入学してきた。
「そして、一緒になって暇を潰してくれる友達も出来ました。」
日下部の提案する暇潰しは、子供っぽいこともあるが楽しかった。
高校生活に飽きが来ていた俺には魅力的だった。
「…だから、今こうしていることは、とても新鮮なんです。暇を感じないくらいに。」
「…そうか。」
「…笠木くんは、退屈でした?飽きちゃってました?」
そんなの決まっている。
「楽しかったよ。」
本当にそう思う。
「お前の考え付く暇潰しはすごく楽しくて、飽きたりなんか、全然ない。」
「…じゃ、これからも暇潰しに誘わせてもらいます。」
日下部は以前よりも明るい笑顔を浮かべた。
俺も自然と笑う。
「普段暇してるからな、いつでもいいよ。」
そして、笑い合う。
とても新鮮な気持ちだ。
「あ、和菓子屋さん見えましたよ!走りましょう!」
なんで走る必要があるんだ、と苦笑しながら、その背中を追う。
大きな道路を渡れば、目的地だ。
彼女をゆっくりと追う。
その背を見て、どくん、と動悸がした。

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