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暇の潰し方19(完)

[310]  あこん  2007-05-03投稿
「暇そうですね。」
俺達の奇妙な関係はこの一言から始まった。
「そんな暇人に話しかけるほど、お前も暇なのか?」
なんて印象の悪い返しだ。
だが、日下部佳奈理は気を悪くした風でもなく、目の前の笠木広人にこう言った。
「はい、一人では暇でしょうがないです。何かいい暇潰しは無いですかね?」

「あ、ヒロトくん、おはようございます。」
朝、教室に入るとカナリが近付いて来る。
「よう、カナリ。」
…なんで普通に挨拶を交わしただけで教室中がざわめくのだろう。
「えーと、ヒロ?」
小学校来の幼馴染、高崎美玖が恐る恐る聞きに来る。
「なんだかあんた達、いきなり仲良くなってない?」
「別に前と変わらんだろ。」
「はい、一緒に和菓子を食べただけですよ。」
俺の奢りでな…。
ミクは何やら納得出来ない、といった表情で俺とカナリを見比べる。
「あ、ミクちゃん。今日の放課後は暇ですか?」
「え?…まぁ暇といえば暇だけど。」
「では、一緒に暇を潰しましょう。」
「え?あぁ、うん。」
何やらミクの様子がおかしいが大したことはないだろう。
さて、今日は一体どんなことをするのか。
学校に苦情が来ないといいけどな。
昼休み、アップルデニッシュをかじる俺の元へ、ミクがやってくる。
「…どーいうわけ?」
得意の不機嫌な細目も忘れない。
「その、どう、はどっからかかってるんだ?」
指示語は正しく使おうな。
「あんたと、カナちゃんが親しさ三割増になってる事よ!」
机を叩くミク。零れたパン生地も潰しているが気にしていない。
「んー、友人から親友になった、てとこか。」
「…えー?」
細目に呆れも含めてミクが睨む。
「言っとくが、お前よりも俺の方が仲良しさんだ。」
ミクはカナリの昔の話は聞いてないと言っていた。
「あー、はいはい。」
ミクは細目をやめて、呆れだけを表情に残す。
「そもそも、なんであんたは文句も言わずにカナちゃんの暇潰しに付き合ってんのよ?」
言ってたぞ、最初のうちは。
「そりゃつまらない暇潰しだったら文句も言うさ。そう言うお前は一緒に暇を潰して楽しくなかったか?」
「いや、まぁそれなりに楽しかったけど。」「じゃ、それでいいんだよ。…それに、暇の潰し方を教えてくれるなんてありがたいだろ。なんたってさ…。」
紙パックの紅茶を口に流し込む。
「…暇なんだから。」

感想

  • 6977: 作者 痛恨の改行ミス(笑)読んでくださってる方々、どうもありがとうございました。 [2011-01-16]
  • 6983: 最高です!新作期待してます! [2011-01-16]

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