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MURASAME

[523]  あいじ  2007-05-04投稿
邪龍?

本部の資料室は地下にあり、滅多なことでは出入り出来ないこととなっていた。天馬は大量の資料に埋もれながら邪龍対策を模索した。
「…妖図鑑?…違う…妖庁創設記録…これか?」
天馬は一冊の分厚い本を手に取り、ページを開いた。
「創設メンバーは四人…氷川勇斗、柊修蔵、薬師院大光明そして、龍見真白」
天馬は再びページをめくると次の記述を読み始めた。
「氷川勇斗は現最高長官の先祖、柊修三は戒金剛の精製者として1890年に死亡、薬師院大光明は不明…龍見真白は…」
思わず天馬の指が文字をなぞる。
「龍見家は昭和の始めに没落し、姓を変更…現姓…」
天馬は手を止め溜め息をつく。ちょうど現姓を載せていたページがボロボロに破れ、読むことが出来なかった。
「駄目か…しかし、たつみって名前どっかで聞いたことあるような…」
天馬が机に突っ伏しているとノックの音が聞こえた。
「おーい、どうだい、調子は?」
「マスター…」
資料室に入ってきたのは喫茶店「デッドエンド」マスター、雨宮だった。彼は菓子織りを置くと天馬の隣に座った。
「お見舞い持って来たけど…食べる雰囲気じゃないねぇ」
天馬は苦笑して見ていた本を閉じようとした。だが雨宮はそれを制し、そのページを見た。
「どうしたんですか…?」
「いやね、この人…美優ちゃんと同じ苗字だと思ってね…漢字違うけど」
雨宮の指は龍見真白に伸ばされていた。天馬は再び本に目を落とすと雨宮の方を向きかえった。
「マスター!美優ちゃんの姓って…」
「うん、巽だよ。何でも、昔はちがかったらしいけど…」
灯台もと暗しとはこのことだった。探し求めていた龍の巫女の血統がこんなに近くにいたとは。
「い…今、美優ちゃんはどこに?」
天馬は興奮して雨宮の腕を掴みながら叫んだ。
「痛いって!美優ちゃんなら休みとって実家の出雲に帰ったよ」
「出雲!?」

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