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雪の華31

[807]  龍王  2007-05-05投稿
 朱斐は部屋に閉じ籠り、ベットの上で耳をふさぎ、うずくまっていた。
 そのまま時間は流れ、気付けば翌朝だった。
 窓から差し込み光を見ながら半身を起こし、鳥のさえずりを訊きながらドアの方に顔を向ける。
 朱斐はゆっくりと歩き寄るとソッとドアを開けた。

「──聖……夜」

 ドアを開けたすぐ横の壁にもたれ眠っている聖夜の姿があった。
 泣きはらした赤い目の朱斐がソッと聖夜に触れようと手を伸ばす。
 愛する者の寝顔を見つめ、相手に触れるか触れないかの手、声をもらさず目からポタポタ涙を流す。

 バッ───

「──えっ?」

 朱斐は突如暖かいぬくもりに包まれた。

「朱斐」

 目を覚ました聖夜は、いきなり目の前にいる朱斐を抱き寄せ、強く胸に抱く。
 朱斐は突然の抱擁にただ驚き、混乱していた。

「朱斐──ゴメン。ゴメン朱斐…」
「……」

 聖夜は繰り返しゴメンと言い、朱斐はそれを黙って聞いた。

 ああ──やっぱり聖夜は私を分かってくれない。

 冷えた氷のように内心落ち着いていた。覚悟は出来ていたから──

「聖……夜」

 朱斐が声を震わせ、弱々しく聖夜に声をかける。
 ゴメンと繰り返し言っていた聖夜がビクッと一瞬強張ると、黙った。朱斐を抱き締めたまま、聖夜は朱斐の言葉に耳を傾ける。

「ご…めんな…さい。聖夜……困らせて……迷惑……だよね。でも私は……」
「違う!!」

 聖夜が声を張り上げ、朱斐の言葉をさえぎった。

「違う……違うんだ。朱斐」
「何……が?」

 朱斐は無気力だった。
 聖夜が何を言いたいのか何を考えているのかさえ、どうでも良くなっていた。

「朱斐……」

 聖夜が、強く抱き締めていた朱斐を解放すると、朱斐の顔をジッと見詰める。

「好きだ──朱斐」

 朱斐がゆっくりと顔をあげ

「えっ?」

 と言った。何を言われたのか理解出来なかった朱斐は茫然としている。

「好きだ。愛してる朱斐」

 聖夜は朱斐の両肩に両手をかけ、真っ直ぐ見詰めながら偽りない気持ちを伝える。

「何を……言って…」
「嘘じゃない……本当は……本当はもっと前からお前の事」


聖夜ガ私ヲ愛シテル?

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