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片想いから実まで。

[386]  天空白奈  2006-02-17投稿
君の名前は隼人。

私の名前は瑞希。

私と隼人とは幼馴染みで友達同士。

でも実は私は隼人に思いを寄せている。

そんなある日。

私は母からあることを告げ知らされた。

「りゅうがくぅ!?」

「隼人くんのお父さんが外国に勤めることになったんだってさ。まぁお金持ちはやることすること違うね?」

「…い、いついくの?」

「今日。あと二時間後に飛行機はここを発つわよ?」

私はひどく驚いた。

私は隼人と一緒の高校にいくからと約束をしたのに‥‥。

それに何故私に留学のこと教えてくれなかったんだろう。

私のことが嫌いだから?

「お母さん。どこの空港?」



私はタクシーを急がせて羽田空港に向かった。

腕時計の針は一時を過ぎたところだ。

あれから一時間半も過ぎたらしい。

残り三十分。

これなら間に合う。

「お客さん、まずいですねぇ。渋滞です。」

気づけばタクシーは大きな渋滞の中にいた。

私は仕方なくタクシーの運転手にお金を支払い、走って空港に向かう。

あと五分というところで空港に到着。

私は隼人を探す。

探していると後ろから低い声が聞こえた。

振り返れば隼人がいた。

「隼人!」

「瑞希?どうしてここへ?俺はお前に教えてなかったはず‥‥。」

「今朝お母さんに聞いた。‥‥隼人、私のこと嫌い?」

「…へ?」

思わず口にしてしまった。

一度言い出すと止まらない口は、どんどん思っていたことを吐き続ける。

「隼人は私のことがウザいんだ!隼人は私ことなんかどうでもいいんだ!隼人は──」

涙がボロボロこぼれる中、唇になにかが触れた。

それがキスされていることに気づくまで時間はかからなかった。

「隼人?」

「瑞希‥‥俺はお前が好きだ。だからこそ言えなかったんだ。でも瑞希がここに来てくれたとき、正直嬉しかった。」

隼人は私に抱きつき、私を泣き止ませた。

「絶対に破らない約束をしよう。瑞希、俺が日本に帰ってきたら結婚してくれ。」

私は再び泣き出した。

でも今度の涙は嬉し泣きだ。

「‥‥はい!こんな女でよければ。」



この日を境に片想いから両想いへ。

そして大きな実が甘く熟した。

感想

  • 276: 話に無茶が… [2011-01-16]

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