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居眠り姫の起こし方2

[492]  あこん  2007-05-07投稿
春の陽気が感じられる頃、二人は出会った。
和真と由良。
2年に上がって初めて同じクラスになった二人は、当然ながら話した事もない間柄だ。
二人にはその頃、互いに孤立しているという共通点があった。
和真はまず見た目で。
逆三角に吊り上がった目は隠せるものでないし、無愛想なこともあって人は寄付かない。
前年に同じクラスだった者が世間話をする程度だ。
そして由良。
見た目は良いものの、いつも寝ている為に人が集まりようがない。
それぞれが理由は違うが孤立していた。
そんなある日だった。
放課後、下校時刻である。
和真が図書室から戻ると、由良がまだ眠っていたのだ。
「…。」
和真は、目の前の少女に人形のような儚さを感じた。
そして顔を覗き込んでいたのだ。
ぱちり、と。由良の両の瞼が開いた。
そこには至近距離で和真の顔。鋭すぎる目が由良の顔を映している。
「…なに?それ?」
由良はまず、和真の持つ本に気を惹かれたようだ。
「え、えーと、これだ。」
自分の顔を隠すように本を出した。
『世界の犬』
「…好きなの?」
「…基本的に動物全般は。」
由良から見えてはいないだろうが、和真は顔を赤くし視線を逸す。
「く、くくく…。」
和真の視界の外で、由良は笑っていた。
「そ、その顔で動物好きとか、ぷ、くくくく…。」
失礼な事を言われてるとは思うが、和真自身も自らの顔については認める。
「はー、おもしろーい!」
散々笑って、由良は涙を拭きながら和真の顔を見た。
「くく、えーと、起こしてくれてありがとね。先生に怒られるとこだったよ。」
まだ多少笑っている。
「…別に。」
由良は、素っ気なく返す和真を全身見回す。そして、
「うん、気に入った!名前は?」
「へ?…えーと、た」
「違う違う、苗字じゃなくて、な・ま・え!」
「…和真。」
「そっか!あたしは由良。これからよろしく!和真!」
そして、今に至る。

「授業が始まる度、帰る度、行事の度、いつも俺に起こさせやがって。」
「和真がお人好しだからいけないんだよ。放っておけばいいのに。」
「そんなことしたら、由良と一緒に俺も怒られる。なんで起こしてやらなかったんだ、て。」
今では、軽口を叩き合えるくらいになっている。
そして和真は由良の目覚時計、という認識もされつつあった。
「じゃ、明日もよろしくね!」

感想

  • 7102: かなり面白い。才能あるよ(≧ω≦)b [2011-01-16]

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