青年は、ゆっくりと煙を吐くと、立ち上がり、誰にともなく話始めた。
｢実は僕も以前、帰宅途中のターゲットを待ち伏せしていたとき、突然ターゲットがルートを変えてしまったんです…しくじった。任務は中断…でも依頼主からは何の連絡もない。そしたら翌日、ターゲットは何者かに殺害されていた…
そこのお兄さんも同じ経験をしてますよね？…つまり、僕たちは知らない家にタッグを組まされたんですよ。片方がしくじってももう一人が狙っている。しかも、一人は狙撃手、一人は接近して殺すタイプ…そうすれば、狙撃手が狙えない場所でも接近して殺せるし、ガードが堅くて接近出来なくても、狙撃手が殺ってくれる…ね。｣
青年の推理に、金髪の男は納得したようだったが、隅で様子をうかがっていた黒髪の女が、表情を変えずにうつむいたまま青年に訊ねた。
｢ではなぜ雇い主…ムラサワさんだったかしら？彼は私たちにそれを伝えなかったの？パートナーがいると知らされていれば、作戦は立てやすかったのに…｣

｢それはね…｣

再びあの不気味な声。ムラサワは嬉しそうな口調で語り始めた…

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