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居眠り姫の起こし方3

[246]  あこん  2007-05-08投稿
闇の中、和真は眠り続ける。
遮光カーテンによって生み出される闇は、視界ゼロ。
明るいと熟睡できない和真には最高の環境だ。
そんな、真っ暗の部屋に窓とは別の方から光が入る。
和真の部屋の扉が開けられたのだ。
部屋に入り込み、眠る和真を見下ろすのは和真の妹。
机の上の時計は七時を指している。そろそろ起きた方がよい時間だ。が、和真に起きる様子はない。
妹が軽く体を揺らすが無反応。
数分後、和真はしっかりと起こされた。体重を乗せたエルボードロップで。

「うぅ、まだいてぇ。」
うつぶせで寝ていた為に肘は腰に入った。
腰を擦りながら歩く和真を、由良は呆れた顔で見る。
「毎朝あちこち痛めてるよねぇ。寝相悪いの?」
「いいや、朝まで同じ姿勢でいられる自信がある。」
「…じゃあ最初から変な姿勢で寝てるとか?良い睡眠の為にもそういう癖は治した方がいいよ?」
「違うっての。」
それでも真実は語らない和真。妹と己の名誉の為に黙秘を続ける。
和真は毎日早目に家を出る。由良を起こす為だ。
由良は、朝は人並に強いらしく電話一本で起きてくる。
そもそも、眠りは浅い方だと由良自身が言っている。少しの刺激で簡単に起きれるのだろう。
その上一人暮らしをしているわけでもないので、和真がわざわざ家の前まで行く必要はない。
しかし、由良の自宅近辺には野良猫が多い、たいして遠回りにならない、由良のたっての願い、といった事柄が重なってこのような結果になった。
和真には最初の事柄だけでも十分だが。
兎も角、登校前に和真は由良の自宅前で彼女の携帯に電話をかける。目を覚ました由良がその着信に出ずに切って、モーニングコールは完了だ。
「…なぁ由良。」
「なに?」
「なんでいつも電話に出ないで切るんだ?」
由良は首を傾げて答える。
「…だって、通話料和真にかかっちゃうじゃない。」
和真は普段通話などしないので月々の無料通話分で事足りるのだが。
「それに、家のすぐ外にいるんだしさ。話したい事があったらさっさと仕度して出てくるよ。」
「…そうかい。」
由良が笑顔で話すものだから、和真はどうでもよくなってしまった。
珍しく困ったような顔で、和真は空を仰ぐ。
済んだ青が、どこまでも広がっていた。

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