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居眠り姫の起こし方4

[226]  あこん  2007-05-10投稿
教室に入ると由良はさっさと机に伏して眠りに就く。
「じゃ、先生来たらよろしく。」
真後ろの和真に一言そう残すと、数秒後には夢の中。
起こす時は肩を軽く叩くだけで目を覚ますので、和真はさして苦労を感じない。
今日一日も、いつものように目覚時計として自分の責務を果たす和真であった。
寝ては起こしてを繰り返し、あっという間に放課後。余談ではあるが、由良は授業中は一切寝ない。
「由良、もうじき下校時刻だ。起きろ。」
和真が軽く机を揺らす。
「…ぬぅ、寝足りない。」
由良は机に顎を乗せたまま欠伸をする。
「さっさと帰って布団で寝ろ。体痛くするぞ。」
「…おぉ、実際痛い人の忠告だ。」
「いや、これは姿勢のせいじゃないけどな。」
和真は痛みを思い出して腰を擦る。
「…あのね、なにか甘い物が食べたい。」
「…はぁ?」
「具体的に言うと学校近所の和菓子屋さん。」
由良は半眼で窓の外を眺めながら呟く。
和真はといえば、鋭い目を更に鋭くして由良を見る。睨んでいるわけではない。呆れているのだ。
「…買って来いってか。」
「まだ下校まで三十分あるしね。よろしくー。」
和真の返事も聞かず、由良は再び、眠りに就いた。
十数分後、結局和真は和菓子と緑茶を買って来た。
「ふむ、お団子。」
「恥ずかしかったぞ。いないんじゃないか、真剣に和菓子選ぶ男子高校生なんて?」
何食いたいか聞いてけばよかった、と和真は付け加える。
「ま、無難な選択だね。ありがと。」
笑顔で餡のかかった団子に食い付く。
和真もまた、自分用に買った缶コーヒーに口を付ける。
「食ったら帰るぞ、先生うるさいし。」
「んー。…あのさ?」
「うん?」
「女の子達が話してるの漏れ聞いたんだけどさ。」
「盗み聞きか。」
「偶然よ偶然。」
また、和真はコーヒーをすする。
「あたし達って付き合ってるの?」
「ぶふっ!?」
黒い液体を吹き出す和真。
「汚いわねぇ。」
「待て、なんだその根も葉もない噂は!」
ティッシュであちこち拭きながら和真は怒鳴る。
「さぁ?なんかそう見られてるみたいよ?」
由良は二本目の団子に取り掛かる。
和真はただ居眠りの多い由良を起こす係に任命されただけである。由良自身によって。
(世間一般には付き合ってるのか、それは!?)
冷や汗が、和真の額を流れる。

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