ハンドル 第1話
田園地帯と言うほどでもなく、ましてや都会と呼ぶには程遠い。そんな中途半端なこの土地が私の居場所です。
妻の母親が亡くなってから五年。独り孤独に暮らす妻の父親の為にこの土地に引っ越してから四年が経ちました。引っ越しを嫌がっていた娘も今では17歳。妻に似て、憎まれ口の多い女になりました。毎日のように、ここには可愛い服を売ってる店が少ないとか、ここの同い年の男はガキばっかりだとか、私に早口でまくしたてます。娘はかつて住んでいた東京に戻りたくて仕方ないようです。私はいつも適当に相槌を打ってごまかします。
一方妻は、自分の父親の為に引っ越してきた事に負い目を感じてるのか、ここでの生活については何も言いませんが、逆に父親の悪口を毎日言ってきます。父親の介護を任せてるホームヘルパーと気があわないとか、父親に会いに行っても話すネタがないとか、ヒステリーじみた口調で私に迫ってきます。私はただ頷くだけで、その事が妻のシャクにさわってよく喧嘩になります。もはやこの家にとって私の存在などどうでもいいものなのです。
妻の母親が亡くなってから五年。独り孤独に暮らす妻の父親の為にこの土地に引っ越してから四年が経ちました。引っ越しを嫌がっていた娘も今では17歳。妻に似て、憎まれ口の多い女になりました。毎日のように、ここには可愛い服を売ってる店が少ないとか、ここの同い年の男はガキばっかりだとか、私に早口でまくしたてます。娘はかつて住んでいた東京に戻りたくて仕方ないようです。私はいつも適当に相槌を打ってごまかします。
一方妻は、自分の父親の為に引っ越してきた事に負い目を感じてるのか、ここでの生活については何も言いませんが、逆に父親の悪口を毎日言ってきます。父親の介護を任せてるホームヘルパーと気があわないとか、父親に会いに行っても話すネタがないとか、ヒステリーじみた口調で私に迫ってきます。私はただ頷くだけで、その事が妻のシャクにさわってよく喧嘩になります。もはやこの家にとって私の存在などどうでもいいものなのです。
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