恋人未満6
哲也は席を立つ。
「奈緒、出よ?」
哲也は奈緒の荷物と伝票を持ちレジへ向かう。
「ちょっ…哲?!」
車に乗りこむとすぐに車を発進させる。
「哲?どこ行くの?」
「ラブホ。」
哲は奈緒の方を見向きもしない。
「……」
2人無言になる。
部屋に入ると、哲は奈緒の腕を引き、ベッドに押し倒した。
「哲??ちょっと待ってよ!」
今までにない、乱暴なキスと愛撫に奈緒は戸惑った。
「…やっ。待って!哲!?」
無理やりに奈緒の服をまくりあげ、スカートの中に手を入れ、下着を脱がす。
「奈緒が望んだ関係だろ?」
コンドームを着け、奈緒に覆いかぶさる。
「…痛っ…!」
それでも、哲也はやめなかった。
奈緒が抵抗する事を辞めたのに気がつき、哲也は奈緒の顔を覗き込んだ。
奈緒は顔を横に背け、涙を流している。
哲也は我に返った。
「奈緒…ごめん。」
哲也は、奈緒から離れ、奈緒に布団を掛ける。
「…平気。続けていいよ?」
「帰ろ。」
哲也は服を着始める。
奈緒も何も言わずに服を着て、髪を整えた。
奈緒の家の前に車を停める。
「…ありがと。送ってくれて。…じゃね。」
車のドアを開ける。
「…奈緒。」
哲也は奈緒に触れる事なく呼び止める。
「…ん?」
いつになく、真剣なまなざしで、哲也は言った。
「俺ら、もう、会わない方がいい。」
奈緒が予想していた言葉。
そして一番恐れていた言葉。
嫌だと、一言いえば、何かが変わっていたかもしれない。
けれど、それさえも恐れて、奈緒はその言葉を受け入れるしかなかった。
「ん。そうだね。」
「…今日は本当にごめん。……彼氏と幸せになって。」
哲の言葉に胸が張り裂けそうになった。
「うん。じゃね。」
哲也の車に背を向け、奈緒は家に向かった。
哲也は、しばらく車を発進させることなく、ハンドルに額をつけてうつむいていた。
感想
- 7057: 続きが気になります? [2011-01-16]
- 7059: 1からずっと読んでます!展開が気になる〜(^〜^) [2011-01-16]
- 7276: カトリです☆感想ありがとうございます。たくさんの方に読んでもらえて嬉しいです。 [2011-01-16]