携帯小説!(PC版)

頼り

[208]  ふく  2007-05-12投稿
終わりはないと思っていた
根拠はない
ただずっと繋がっていられると思っていた
電話が出来る限り
メールが届く限り
手紙を出せる限り

遠くへ行っても
何かで繋がっているものだと
気持ちが繋がっているものだと
そう信じていた

いつからか
電話をすることはなくなっていた
声を聞けない
それでもメールはした
何度もやり取りをした

忙しいから時間が合わないから
それだけだった
電話がなくなればメールも回数は少なくなる一方だった
送っても返事は返ってこない

手紙を出した
一ヶ月後にやっと返事は来た

忙しい
変わらず頑張ってるよ
そっちに帰ることはあんまりないかな

紙一枚に余るくらいの返事だったけど嬉しかった

繋がるモノがある
それだけでも十分に思えた


いつしかメールも手紙も回数は減った
何故か私からのメールもなくなった
正直に言えばしづらくなってしまった
返事のない一方通行のメールは
虚しいだけだった

久々に声が聞きたいそう思って息を呑み通話ボタンを押す
嫌な予感はしていた電話番号は変わっていた
アナウンスが寂しく響く
震える手でメールを打つ
追い打ちをかけるようにエラーメッセージが届く
しばらくの間携帯を片手に呆然となる

手紙がある
手紙に託そう
そう思い必死に文字を綴る
何を書いたかさえ覚えていない

何日か後にポストに一枚の封筒が届いていた
胸が高鳴る
きっと返事だと喜びでいっぱいになる

手に取ったその瞬間心臓が大きな音を立てた
目の前が真っ白になる

返送されて来た自分が出した手紙だった
言葉にならない気持ちを抑えるのが精一杯だった
繋がるモノがなくなってしまった
気持ちさえも繋がっていないのだと
事実を受け止めることがこんなに辛いものだとは思わなかった

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