居眠り姫の起こし方10
憧れの白木と和真が話をした日の放課後、和真は購買の菓子パンとジュースを買えるだけ買った。
昼休み、いろいろあって白木と話せたのは、元を辿れば由良のおかげであり、彼女からお礼を強要されたのだ。
細かい事を言えば、彼女の為に飲物を買いに行ったからその偶然があったわけで、特に由良はなにもしていないのだが。
「買って来たぞー…て、寝てんのか。」
日が傾き始めたころから、気温も下がって由良曰く程よい気温、だそうだ。
「しょうがねぇなあ。」
和真は溜息を一つ吐いて、由良の前の席に向かう。
後ろ、つまり由良に向いて座る。
自分用に買ったグレープジュースの蓋を開ける。芳香が鼻を突く。
「んぬー?ブドウの匂い?」
由良が起きた。
「あ、悪い。ちょっと匂いきつかったか。」
缶を自分の座っている席の机に置いて、由良から香りを遠ざける。
「んーん、いい匂いだからいい。パンとか買って来てくれたんでしょ?」
半端に起こされたというのに由良の機嫌はよかった。
和真は内心怯えながら大量のパンを渡す。
「おぉー、いっぱいだねー。」
由良は早速クリームパンを取った。
ちなみに今日だけで和真の出費は二千円近くなる。大きな被害である。
「って、何気ない顔でアップルデニッシュ持ってかないでよ。」
「まだもう一つあるだろ、ってか元は俺の金だ。」
由良にミルクティーを渡してやると、和真は甘い匂いを漂わせるパンにかじりつく。
「…甘い。」
「苦手?」
「いや、そーでもねーけど一個でいいや。」
ムシャムシャと咀嚼して飲み込む。
「もっと味わって食べなさいよ。」
「腹減ってんだ、そんな余裕はない。」
和真は小振りなメロンパンの封を開ける。
「…あたしの。」
ミルクティーを口に付けたまま、由良はジト目で和真を睨む。
「元は俺のだ、つのに。」
「だいたい一個でいいって言ったのは。」
「デニッシュはもういらん。」
「二つも取られてたまるか!」
由良は残った多量のパンを抱え込んで唸る。
「…取らない取らない、もう取らんからこっち来なさい。」
しっかりとメロンパンは確保しているが。
「和真の味覚からして、次はチョコメロンカスタードイチゴパンかな?」
「いるかそんなけったいな混合物。」
「じゃあなんで買ったのよ。」
「おもしろいかな、と。」
その不思議なパンで和真は叩かれた。
昼休み、いろいろあって白木と話せたのは、元を辿れば由良のおかげであり、彼女からお礼を強要されたのだ。
細かい事を言えば、彼女の為に飲物を買いに行ったからその偶然があったわけで、特に由良はなにもしていないのだが。
「買って来たぞー…て、寝てんのか。」
日が傾き始めたころから、気温も下がって由良曰く程よい気温、だそうだ。
「しょうがねぇなあ。」
和真は溜息を一つ吐いて、由良の前の席に向かう。
後ろ、つまり由良に向いて座る。
自分用に買ったグレープジュースの蓋を開ける。芳香が鼻を突く。
「んぬー?ブドウの匂い?」
由良が起きた。
「あ、悪い。ちょっと匂いきつかったか。」
缶を自分の座っている席の机に置いて、由良から香りを遠ざける。
「んーん、いい匂いだからいい。パンとか買って来てくれたんでしょ?」
半端に起こされたというのに由良の機嫌はよかった。
和真は内心怯えながら大量のパンを渡す。
「おぉー、いっぱいだねー。」
由良は早速クリームパンを取った。
ちなみに今日だけで和真の出費は二千円近くなる。大きな被害である。
「って、何気ない顔でアップルデニッシュ持ってかないでよ。」
「まだもう一つあるだろ、ってか元は俺の金だ。」
由良にミルクティーを渡してやると、和真は甘い匂いを漂わせるパンにかじりつく。
「…甘い。」
「苦手?」
「いや、そーでもねーけど一個でいいや。」
ムシャムシャと咀嚼して飲み込む。
「もっと味わって食べなさいよ。」
「腹減ってんだ、そんな余裕はない。」
和真は小振りなメロンパンの封を開ける。
「…あたしの。」
ミルクティーを口に付けたまま、由良はジト目で和真を睨む。
「元は俺のだ、つのに。」
「だいたい一個でいいって言ったのは。」
「デニッシュはもういらん。」
「二つも取られてたまるか!」
由良は残った多量のパンを抱え込んで唸る。
「…取らない取らない、もう取らんからこっち来なさい。」
しっかりとメロンパンは確保しているが。
「和真の味覚からして、次はチョコメロンカスタードイチゴパンかな?」
「いるかそんなけったいな混合物。」
「じゃあなんで買ったのよ。」
「おもしろいかな、と。」
その不思議なパンで和真は叩かれた。
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