居眠り姫の起こし方11
おやつにしてはちょっと多い、大量の菓子パンを二人で片付けて一息つく。
和真は慣れない甘い物の詰めすぎで、由良は満腹からくる眠気でダウン寸前だった。
「うー、無理、寝る。」
いつもの事なので和真は特に何も言わず頷いた。
むしろ和真自身が危険な状態だった。
(あー、胃がもたれる。)
口の中にまだクリームが残っている感じがして落ち着かない。和真は口直しの為に再度購買へ向かうのだった。
「…ん、あれ?」
由良が目を覚ますとそこにはブルブル震える和真。
下校時刻が迫っており、いつもなら和真によって起こされる時間である。
(習慣、てのは恐ろしい事。)
自然と起きてしまったのだ、睡眠好きの由良が、定時に。
それよりも、和真の様子の方が由良は気になっていた。
凶悪な顔付きに似合わず、人の良いこの男が、由良を起こさなかったのだ。
更に小刻みに震えている。まるで小型犬のように。
「…あんたは大型犬派じゃなかったかしらね。」
「…え?あぁ、由良。起きたのか。」
目が虚ろだったので由良は一瞬たじろいだ。
「本気で怖いんだけど。」
一般人が見れば、イっちゃった目という奴だろう。
(薬物使用者みたいね。見た事無いけど。)
よく見れば、和真は、へへっへへへ、と不気味に笑ってまでいる。
(う、うぅ怖い。)
しかし負けてはいられない。由良は意を決した。
「えーと、何かあったの和真?」
「うふ、ふふふ。聞きたいか?」
「取り敢えず怖いから笑うのやめて。」
恐怖に勝てず、由良は目を逸らす。耳はばっちりと、和真の喜々とした声を取り込んでいたが。
「…なんか嬉しい事あったの?」
「あぁ!お前のおかげだ!」
和真の手には大事そうに握られた緑茶のボトルが。非常に苦い事で有名なお茶である。ネタで生産してるんじゃないかというくらい。
「口直しの為にこの苦茶を買ったらな、またも偶然白木がいて、十数分話し込んでしまったぜ!」
和真、柄にも無く興奮している。
「そ、そりゃよかったね。」
「菓子パン沢山食った話をしたら、呼んでくれたらよかったのに、とまで言われたんだ!」
「そ、そぉ。」
由良は、和真と知り合ってからこんな彼の姿を見たことはなかった。
「これっていいのか?いい感じか由良?」
どう答えたものか、下校時刻まで眠りもせずに由良は考え続けた。
和真は慣れない甘い物の詰めすぎで、由良は満腹からくる眠気でダウン寸前だった。
「うー、無理、寝る。」
いつもの事なので和真は特に何も言わず頷いた。
むしろ和真自身が危険な状態だった。
(あー、胃がもたれる。)
口の中にまだクリームが残っている感じがして落ち着かない。和真は口直しの為に再度購買へ向かうのだった。
「…ん、あれ?」
由良が目を覚ますとそこにはブルブル震える和真。
下校時刻が迫っており、いつもなら和真によって起こされる時間である。
(習慣、てのは恐ろしい事。)
自然と起きてしまったのだ、睡眠好きの由良が、定時に。
それよりも、和真の様子の方が由良は気になっていた。
凶悪な顔付きに似合わず、人の良いこの男が、由良を起こさなかったのだ。
更に小刻みに震えている。まるで小型犬のように。
「…あんたは大型犬派じゃなかったかしらね。」
「…え?あぁ、由良。起きたのか。」
目が虚ろだったので由良は一瞬たじろいだ。
「本気で怖いんだけど。」
一般人が見れば、イっちゃった目という奴だろう。
(薬物使用者みたいね。見た事無いけど。)
よく見れば、和真は、へへっへへへ、と不気味に笑ってまでいる。
(う、うぅ怖い。)
しかし負けてはいられない。由良は意を決した。
「えーと、何かあったの和真?」
「うふ、ふふふ。聞きたいか?」
「取り敢えず怖いから笑うのやめて。」
恐怖に勝てず、由良は目を逸らす。耳はばっちりと、和真の喜々とした声を取り込んでいたが。
「…なんか嬉しい事あったの?」
「あぁ!お前のおかげだ!」
和真の手には大事そうに握られた緑茶のボトルが。非常に苦い事で有名なお茶である。ネタで生産してるんじゃないかというくらい。
「口直しの為にこの苦茶を買ったらな、またも偶然白木がいて、十数分話し込んでしまったぜ!」
和真、柄にも無く興奮している。
「そ、そりゃよかったね。」
「菓子パン沢山食った話をしたら、呼んでくれたらよかったのに、とまで言われたんだ!」
「そ、そぉ。」
由良は、和真と知り合ってからこんな彼の姿を見たことはなかった。
「これっていいのか?いい感じか由良?」
どう答えたものか、下校時刻まで眠りもせずに由良は考え続けた。
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