居眠り姫の起こし方12
和真のご機嫌モードは自宅に帰ってからも途切れることはなかった。
(白木と話しちまった。白木と話しちまった。しかも二回も、二回もだぞ!?)
自然と口元がニヤつく。声も洩れ始める。
「ふへ、ふへへへ。」
意味のない笑いが響く。反響した声は和真の耳に入っていない。
それよりも日中の会話を回想する方が優先されているのだ。
「うふへ、うへふふふ。」
その不気味過ぎる笑い声は、風呂場に押し入った妹に殴り倒されるまで続くのだった。
翌日、習慣ともなった由良へのモーニングコールを済まし、和真は辺りを見回す。
気分が違うだけで、景色が違って見える。そんなことを和真は身を持って実感していた。
「あはははは。」
爽やかに笑う和真。爽やかなはずだが、散歩中の老人が道を変えた。気紛れだろう、と和真はどこまでも前向きだ。
「悪役か。」
「おぉう、由良。朝の第一声がそれは失礼じゃないか?」
「その顔で高笑いは止めなさい。通報されるから。」
酷い言い様だが、今の和真には通用しない。
「妹にな、含み笑いは気持ち悪いからやめて、と言われたんでな。」
結果、堂々と笑う事にしたのだ。あくまでも爽やかに。
「はっはっは、しかし仲良くなれるのも案外すぐかもしれねぇな。」
「言ったでしょ。あんたは中身はいいんだから愛想さえよくしてりゃいい、て。」
由良が非常に一緒に歩きづらそうに隣りに並ぶ。
「…見た目は過去最大にやばいけどね、今日は。」
ぽつり、と由良が呟くが和真は聞こえていない。
「さぁ、学校へ行こうぜ。」
「…性格まで変わってきたわね。」
二人が学校へ向かおうとすると、道路を挟んで反対側、白木の姿が見えた。
「おぉ!」
「反応早過ぎよ。」
和真が横断歩道の所で待とうと提案する。学校はこちら側だ。
「朝から、会話だなんて。」
和真が幸せを噛み締めている時に、それは起こった。
「あ、後ろから誰かが話しかけてるわよ。」
「なにぃ!?」
同じクラスの男子だった。白木と二人、とても楽しそうに話をしている。
「流石に内容は聞こえないわね。楽しそうなのは顔見れば分かるけど。」
「…。」
「あー、和真?」
「…え?」
「待つ?」
凄まじい速度で和真は首を横に振る。
「行きましょか。」
「…うん。」
先程までの勢いはどこへやら。和真はすっかり消沈してしまった。
(白木と話しちまった。白木と話しちまった。しかも二回も、二回もだぞ!?)
自然と口元がニヤつく。声も洩れ始める。
「ふへ、ふへへへ。」
意味のない笑いが響く。反響した声は和真の耳に入っていない。
それよりも日中の会話を回想する方が優先されているのだ。
「うふへ、うへふふふ。」
その不気味過ぎる笑い声は、風呂場に押し入った妹に殴り倒されるまで続くのだった。
翌日、習慣ともなった由良へのモーニングコールを済まし、和真は辺りを見回す。
気分が違うだけで、景色が違って見える。そんなことを和真は身を持って実感していた。
「あはははは。」
爽やかに笑う和真。爽やかなはずだが、散歩中の老人が道を変えた。気紛れだろう、と和真はどこまでも前向きだ。
「悪役か。」
「おぉう、由良。朝の第一声がそれは失礼じゃないか?」
「その顔で高笑いは止めなさい。通報されるから。」
酷い言い様だが、今の和真には通用しない。
「妹にな、含み笑いは気持ち悪いからやめて、と言われたんでな。」
結果、堂々と笑う事にしたのだ。あくまでも爽やかに。
「はっはっは、しかし仲良くなれるのも案外すぐかもしれねぇな。」
「言ったでしょ。あんたは中身はいいんだから愛想さえよくしてりゃいい、て。」
由良が非常に一緒に歩きづらそうに隣りに並ぶ。
「…見た目は過去最大にやばいけどね、今日は。」
ぽつり、と由良が呟くが和真は聞こえていない。
「さぁ、学校へ行こうぜ。」
「…性格まで変わってきたわね。」
二人が学校へ向かおうとすると、道路を挟んで反対側、白木の姿が見えた。
「おぉ!」
「反応早過ぎよ。」
和真が横断歩道の所で待とうと提案する。学校はこちら側だ。
「朝から、会話だなんて。」
和真が幸せを噛み締めている時に、それは起こった。
「あ、後ろから誰かが話しかけてるわよ。」
「なにぃ!?」
同じクラスの男子だった。白木と二人、とても楽しそうに話をしている。
「流石に内容は聞こえないわね。楽しそうなのは顔見れば分かるけど。」
「…。」
「あー、和真?」
「…え?」
「待つ?」
凄まじい速度で和真は首を横に振る。
「行きましょか。」
「…うん。」
先程までの勢いはどこへやら。和真はすっかり消沈してしまった。
感想
- 7101: 恋愛ものではないんですか? [2011-01-16]
- 7103: なんて....面白いんだー( ̄□ ̄;)!!いままでの小説のなかでNo.1!! [2011-01-16]
- 7109: 作者 皆様コメントありがとうございます。ここまでやって恋愛物にならないのが僕の所以です(笑)。 [2011-01-16]