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居眠り姫の起こし方13

[241]  あこん  2007-05-17投稿
「はは…あはははは…。」
和真は笑い続ける。
昨日から、ずっと笑い続けていた。
「ふふ、ふはははは…。」
しかし、数時間前までの笑い声とは真逆の感情が籠っている。
悲しみ、哀れ、情けなさ。
その他様々な負の感情を込めて、和真は笑う。
「あはははは」
「うっさいわ!」
通学路の途中、昨日とはまた別の意味で不気味に笑う和真を、由良は学生鞄で殴る。
由良が手を上げたのは初めての事である。
「あーもー、白木さんが誰かと親しそうにしてたからってそこまでへこたれんじゃない!」
「…だ、だって。」
「あー、ウザい。あんたのその悪人面は飾りか、いつまでもグジグジと。」
由良は不機嫌割り増し。
「大体、あんたより仲のいい男子がいるのなんか当たり前じゃない、和真は昨日、初めて、白木さんと話したんでしょ?」
「あ、あぁ。」
「だから、あんたへの感情値はほぼゼロなのよ。最難関攻略キャラなのよ。」
「お前は…。」
言われるだけ言われ、和真もいつもの調子を取り戻してきた。
情けなく緩んでいた両目を吊り上げて由良を睨む。
「なに?なんか文句ある?」
由良も目を可能な限り鋭くし、和真を睨む。
「言いたい放題だなてめぇ、感情値ゼロとは言い過ぎだろ。」
「あぁ、マイナスか!」
即座に言い返した由良に、和真はぐうの音も出ない。
「な、お前…。」
「悔しけりゃ感情値上げてみろや!」
そして由良は和真に背を向けて歩きだす。
「先行って寝てる。中身最悪な意気地無しとは並んで歩きたくないし。」
と言い残し、由良は和真の前から去った。
「…なんだよ。」
和真は訳も判らず立ち尽くした。
余談ではあるが、往来で感情値やら攻略キャラだのと喚いていた二人は道行く人に変な目で見られていたのは言うまでもない。

「HR、始まるぞ。」
無愛想を装って、和真は由良を起こす。
「…ふーん、いくらかマシな顔になったわね、なんかあった?」
「別に。あの後白木と合流して登校しただけだ。」
一緒にいた男子は和真の不機嫌な顔を見て逃げだした。
「へぇ?昨日みたいに小躍りしないんだ?」
「躍った覚えはない…その程度で一喜一憂するのもな。えーと。」
「うん?」
「すまんかった。かなりウザかった。」
心から頭を下げる和真を見て、由良は笑みを浮かべた。
「意気地無しから中身そこそこに格上げ、かな?」

感想

  • 7112: 作者 12話の方で恋愛ものにならないのが自分、だとかよくわらからないことを書きましたが(汗)追記しますと、この作品の軸は和真と由良の二人であって、その間にあるものは信頼だとか友情。恋愛感情ではないんです。対等な相棒、という奴ですか。 敢えてジャンル分けするならば、友情もの。前作にもいえますがボーイミーツガールで恋愛にならないのは確かに変ですね(笑) [2011-01-16]
  • 7119: 毎回楽しみに読ませて頂いています。先が気になります。 [2011-01-16]

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