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MURASAME

[495]  あいじ  2007-05-17投稿
亞リス?


「なんなのですか?その永久機関と云う物は…?」
京子が蔵王丸に云った。蔵王丸は一枚の写真を持ち出し、京子に見せた。
「これ…は…」
京子の表情が固くなった。
「アリスレス式永久機関…人の想念を物理的なエネルギーに転換する発明…真柄教授はこの研究に生涯を賭けていた…私が教授の下で勉学に禿げんでいた時の教授の写真です…」
蔵王丸の表情が暗く沈む。
「では、うちの主人は…」
「想念を吸い取らています。いずれ…命を落とす」
その言葉を聞くと京子は跳ね上がるように椅子から立ち、部屋を後にしようとした。
「待ってください!」
蔵王丸の声に京子が振り向いた。その表情に蔵王丸は愕然とした。
彼女の顔はもう人とは呼べなかった…


やはり私は間違っていたのだ…。
私は亞リスとともにいることはできない…。
「亞リス…分かっておくれ…私達は愛し合うことはできない…こんな…こんな…人でなしの恋など…間違っている」
(私ヲ捨テルノネ…無理ヨ…)
「何故だ!」
(私トアナタは既ニヒトツナンデスモノ…)
私は亞リスを荒々しく持ち出すと、部屋を後にした。


私は近くのどぶ川に亞リスを捨てた。
この方がよかったに決まっている。例え、どんなに亞リスを想おうとも、そんなものは幻想でしかない…そう思っていた…。
「何故だ…何故…ここにいるんだ!」
私が部屋に戻り、ふと目を向けるとそこには水に濡れた亞リスが椅子に座っていた。
亞リスは何も言わない。ただ、私をみつめるだけ…何故…何故…考えることは無意味だ…。
「そうか…私と亞リスは離れられないのか…」
私は亞リスを抱きしめようと近づいた。その時だった。
「あなた、やめて!」
振り向くとそこには私の妻…京子が立っていた。

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