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証明写真?

[613]  夜野 灯  2007-05-18投稿
高木がインターホンを押した。
【ピンポーン…】
渇いた音が辺りに響く。…反応が無い。留守なんだろうか?
30秒…1分…まるで時間が止まっている様に長く感じる。
高木がまたインターホンを押した。
【ピンポーン…】


やはり反応が無い。
「高木…留守みたいだから出直そうか?」
このまま玄関の前にいるのも、不審者っぽくて俺は嫌だった。
「そうすっね。すいません。電話してくれば良かったですね。」
「しょうが無いよ。俺がいきなり言った事だし」
向きを変えて俺達は歩きだそうとした時だった。
「高木さん?」
ふいに声が聞こえた。
正面から自転車に乗った男の子がこっちを見ている。
「お〜!ちょうど家に行った所だったぞ。」
高木はその男の子に向かって言った。すると男の子は近付いてきた。
「先輩。この子が話してた友達の弟で裕貴って言うんですよ。」
「家に来たって。高木さん、なんか用事?」
裕貴は不思議そうな顔で見上げている。
「ほら…お前が前に言ってたろ。兄貴が死んだのは写真のせいだって。それを聞きにな。」
裕貴は僕をチラチラ見ながら答えた。
「あの話かぁ。…でも誰も信じてくれないし、もう言うなって親に言われたよ。」
「この人は遠野さんって言って俺の先輩。お前が言ってた証明写真の事調べてるんだ。良かったら話してくれないか?」
高木が話すと裕貴は下を向き黙っていた。
「裕貴君。知ってる事教えてくれないかな?どんな事でもいいからさ」
「……ん……いいよ。」
俺達はファミレスに移動する事にした。
「裕貴君、何かいる?」
「じゃあ…コーラ。」
すると高木がすかさず
「先輩。俺もいいっすか?ちょっと腹減って。」
付き合って貰ってるし…しょうがない。また金が飛んで行く。
「あぁ、軽くな。俺はコーヒーを」
俺はシステム手帳を出し裕貴君に話しかけた。
「お兄さんの事だけど…事故って聞いたけど違うのかい?」
「事故だけど…事故じゃないよ。」
意味が分からない。どういう事なんだ?
「写真が関係してるって言ってたよね?どういう意味かな?」
僕がそう聞くと、裕貴は体を固まらせて答えた。
「事故の一日前…兄ちゃんが言ってたんだ。噂は本当だったって。」
その瞬間…俺は背筋に寒気を感じた。
口が異常に渇く。

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