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証明写真?

[621]  夜野 灯  2007-05-19投稿
「どんな事故だったんだ?」
「バイク事故だったんですけど…それがおかしかったんですよ」
「おかしいって何が?」
高木は拳を握りしめ、声を絞り出すように言いだした。
「ノーブレーキで塀にぶつかったんですけど、その後が変だったんですよ。」
「変って?死体が歩いたとか?」
僕は雰囲気を変えようと軽い冗談で返した。
「そっちなら理由つけられそうなんで。…首が後向いてたんですよ。」
事故で首をやるのは良くある事では無いのか?
「それは、壁かなんかにぶつけたんじゃ無いか?」
「そうかもしれませんが、有り得ないんっすよ。ヘルメットは体の正面向いてたのに…中の顔は、まるでねじられたように後向いてて」
!!そんな訳は無い。何か理由があるはずだ。
ぶつけた時にヘルメットが一回転して、中だけ回らなかったとか。
「警察は何て言ってたんだ?」
「メットの傷から見ると、打ち傷はあっても擦り傷は無いから…こんな事は考えられないが、特殊なケースとしてありえるかもって曖昧な説明でした。」
確かに、事故死には違いないが本当なら奇妙だ。まるで…別の力が働いた様にさえ思える。
「高木…実際どう思う?」
「俺はさっきも言ったように【都市伝説】とか信じてないんで。でも、答があるなら知りたいです。」
「そっかぁ。ここまで着たら、出来るとこまで行くか。」
言葉ではそう言ったが、僕は正直怖かった。最初は噂の伝染経路と発祥を調べるだけのつもりだったが、後には引けなくなってしまった。
無性に喉が渇く。
「すいません。コーヒーおかわりお願いします。」
取り敢えず落ち着こう。
「先輩、裕貴のやつ遅いっすね」
「そうだな。もう15分くらいたってるし。どこ行ったんだろう?」
裕貴が出て行ったまま、まだ帰ってこない。
「あと10分待って来なかったら、家行ってみるか?」
「そうですね。なんか心配だし。」
コーヒーを喉に流し込む。まだ渇きを感じる。
「あっ!」
高木が声をあげる。その目線の先には息を切らした裕貴がいた。

「すいません。遅くなりました。」
「どこ行ってたんだ。心配したぞ。」
「ちょっと家に取り行ってました。」
「何を?」
「兄の日記です」
そう言うとバックから、黒い日記を取り出した。

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