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居眠り姫の起こし方15

[223]  あこん  2007-05-21投稿
夏休みを目前に控え、学生達も浮足立つ。
そんな中、和真と由良はいつものように放課後の教室でまったり過ごす。
「何が楽しいのかしらね、夏なんて。」
由良が机に顎を乗せて呟く。
「そうだな、お前には暑くて寝苦しいだけだもんな。」
眠りの浅い由良にはこの熱気は地獄だった。
「ホントそうよ。夜も暑い、朝も暑い、昼は何より暑い!」
まぁ夏だしな、と呟いて和真は窓を開ける。蝉の声がかなり五月蠅い。
「あーもぅ、早く涼しくならないかなー。」
「…まだ7月だぞ。」
無茶な怒りを青く澄んだ空にぶつける由良。
窓が開いてるのに風すら入らない。
「ところで和真は購買行かないの?」
放課後、和真は購買の自販機前で白木と話すのが日課になりつつある。地道な努力のおかげでそこまでこぎ着けたのだ。
「あぁ、後で行くよ。まだ部活やってるはずだし。」
白木がバレーボール部だというのも最近やっと知った。休憩時間に飲物を買いにくる所を狙って和真は購買へ向かっている。
「ふーん…で?デートとかは?」
「いやいや、まだ早いだろう。」
由良のからかうような声に和真はうろたえる。
「夏休みだ、て皆が騒ぐのは、恋人同士で盛り上がるイベントが多いからなんでしょうねー。」
楽しい玩具を見付けた、と言わんばかりの笑顔で由良は喋り続ける。
「今のうちに約束とかしとかないと、講習やら部活やらで全然会えなくなるわよー。」
和真は押し黙ったまま。
「それに、もしかしたら…。」
「もしかしたら?」
「夏のうちに彼氏が出来ちゃったりねー。あんた以外の。」
和真は既に泣きそうだ。
「あ、ごめん。やり過ぎた。」
「お前は俺を苛めて楽しいか!?純粋な男子を傷付けてなんとも思わんか!?」
和真が若干キレつつ由良に詰め寄る。
「あー、もう悪かったってー。」
和真は顔をしかめっぱなしだ。
「そーいう事言うならな、俺にも考えがあるんだからな、講習中の朝迎えに行かねーぞ。一人だけ授業置いていかれちまえ。」
「…本当に?」
由良は困ったような顔で和真を見つめる。無論演技だが。
「…いい、迎えに行く。」
とことん損な性格の男であった。
「いやぁ、和真は優しいねぇ。」
和真には、由良の笑顔が悪魔のものに見えただろう。

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