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航宙機動部隊第二章・31

[464]  まっかつ  2007-05-21投稿
『それとも何か。また歴史的必然とやらで、今度は帝国に値札でも付けて中央域の資本家共相手にオークションでも開くつもりになったか?だとしたらさぞ結構なマージンが貴様の両手に転がり込む様になってるんだろうな!!』
蔑意に歪められた顔面を伴奏に、右総長はどぎつさでこれ以上は考えれない罵声を同僚に浴びせかけた。
気の弱い人間なら、それだけで間違いなく意識を失い卒倒しただろう。
しかし、クレオン=パーセフォンは何時も通り柔和な笑みを崩さず、少なくとも政治的鈍感さには事欠いていない様子を証明して見せた。
『そんなつもりは有りませんよ。私は今回の作戦に命かけてます』
『何だとっ!?貴様!!』
またしても左総長のマイペースな言い方がレイモンドを挑発してしまい、胸ぐらを力一杯掴まれたのはこれで十何度目かになるが、だとしても今日のは今までにない手加減の無さだった。
絞めあげ続けられる苦痛に、純白に金色の縁取の第一種軍装とともに左総長はか細い悲鳴を出すしかなかった。
完全遮音された密閉隔壁の中の出来事だ。
もし右総長が望めば、義憤と私憤の赴くままに格闘戦の技量では明らかに劣る対象をノック=アウトする事も出来れば、いっそこの世からリングアウトさせる事も出来る。
もちろんレイモンド=フォア=ギニエールは直情なだけの男ではない。
彼は更にクレオンの喉元の包囲をじわじわと狭めながら、
『貴様の計画だのビジョンだのの為に、俺の部下達の命や人生を道具にされてたまるか!貴様の立てた作戦の賭け台で転がし、数値化するにはなあ、あいつらの身は上等過ぎるんだよ!!』
そう、言ってやった。
『ご存知でしょう…次の決戦は、この《スタニドルフ》が陣頭に立ちます…私を始め…幕僚部のスタッフも一人残らず…乗艦するのですよ…もし戦いに負けたら…私も…死ぬのです…そんな状況でどうやって…帝国を…裏切れるのですか…』
人工的な急性喘息に、混濁する意識と表情と声色のままで、息も絶えだえに左総長はようやくそれだけを伝えるのがやっとだった。
『成程そうだな―もし貴様が妙な事を考え出したとしても、すぐ傍に始末出来る人間がいる分けだしな』
右総長は掴んだ襟毎、昏睡寸前の相手の顔を自分の目の前に引き寄せて、血に飢えた獣の両眼と微笑をたっぷり堪能させた。

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