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素敵な恋の見つけ方8

[194]  あこん  2007-05-25投稿
「そろそろここのネタも無くなるな。」
意味もなく呟いた。勿論誰の耳に入ることも無い。
俺の名は片桐篤。学校の階段付近まで引き摺られてきた所だ。
「さぁ、ミッション開始だ。」
引き摺ってきた張本人、この自信満々なオタクが久保匠。
「さぁ、ここで待機だ片桐。」
と、階段手前の曲がり角で立ち止まる。壁があって階段は一切見えない。
「相手が見えないが。」
「不意を打たねば意味がない。」
「男にぶつかったらどうするんだよ、相手によっては殴られるぞ。」
「そこでお前の能力だ。足音で男女の区別をして飛び出せ。」
確かに俺には足音である程度判断出来る無駄能力があるが。
「確実ではないぞ。男か女かしかわからんし。」
そんな時、階段を降りて来る足音が聞こえた。
「さぁ、感じるんだ片桐。」
言われなくとも。…て、いつの間にか乗せられてるな俺。
…女だ。間違ない。しかも直感で可愛いと見た。
「久保。」
目を合わせて無言で頷く。久保も同じように頷き返して、俺の背中を押した。
「え?…うわわわ!?」
「きゃあ!?」
ぶつかる衝撃と黄色い声。そしてちょっと柔らかい感触。
「わ、わぁぁ、すいません、大丈夫ですか!?」
謝って、顔を上げると俺は絶句した。
目の前で倒れこんで、上半身だけを起こしているのは美少女だった。
「…あんた、一年ね。」
彼女は不機嫌そうに目を吊り上げ、俺を睨み上げる。
…なにやら、嫌な予感がするのだが。
「人が寝不足で気が立っているってのに、そんなあたしを張った押して、それでいてボケッとして。」
見える、黒いオーラが見える。
靴のデザインから二年と判断した。
「す、すいません先輩!後ろから急に押されまして!」
「…後ろから?」
「はい!」
で、後ろを見れば。
「誰もいないわね。」
「…そーっすね。」
あの野郎ぅ…。
「よし、殴らせろ。」
「いやー、指ポキポキさせないで!」
正に飛び掛かられる寸前、彼女の体が後ろから羽交締めにされる。
「なにやってんだ由良!?」
「うっさい!放せ和真!」
現れた和真と呼ばれた男は必死に由良という彼女を押さえ付けている。
っていうか和真って先輩恐い顔してるな。
「一年!こいつはなんとかするから逃げろ!今のこいつは危険だ!」
「は、はいぃ!」
二人ともがなんか恐いので俺は全力で逃げ出した。

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