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MURASAME

[506]  あいじ  2007-05-25投稿
鬼門?

太陽は静かに沈み、暗黒が支配する夜の世界がやってきた。幸司、天馬の二人は蔵王丸に呼ばれ、本堂にきていた。
「さて、これから仕事の説明をする…けど、その娘も一緒にきたのね…」
蔵王丸が溜め息を吐く。砂羽が幸司の腕に抱きついて離れなかった。
「まぁいいか…」
蔵王丸が諦めたように幸司の方をみた。幸司は砂羽を見るが彼女はただ微笑むだけだった。
「僕達が護衛するのはこの鬼門の周辺。今、鬼部大社は東西南北四方を僧兵達が囲むように守護しているから心配ない。鬼門では幻燈斎様が儀式を行っている。儀式終了の明け方までに鬼門を守ること…それが今回の仕事さ」
蔵王丸が地図を広げて説明する。二人とも理解できたのか合わせて頷いた。
「それと…天馬君は本堂に残ってほしい万が一の為にね」
天馬が頷く。
「幸司君は僕と一緒…砂羽君も連れてくるといい…近くに小屋がある」
幸司は羅喉を携えて立ち上がった。
「よし…じゃぁ…行こうか」
「はい!」


夜はいよいよ深まっていき、全ての生命が眠りにつく時間となった。
鬼部大社正門前では凄まじい数の僧兵達の姿があった。
その先陣に立ち、僧兵達をまとめ上げている二人の巫女がいた。
「榊様、神楽様。全兵、準備が整いました」
二人のうち、榊と呼ばれた巫女が静かに頷いた。
「よいか、今宵は百年に一度の鬼門開帳の日ぞ!なんとしてでも鬼門を死守せよ!」
榊と神楽が同時に声を張り上げる。その声に反響するように僧兵達から怒号のような雄叫びが上がった。
その時だった。
「ぐあぁ!」
後ろの僧兵達から悲鳴が上がった。榊と神楽が見ると、黒い影のようなモノが白刃を輝かせ僧兵達の斬り刻んでいる姿だった。
わずか一瞬の間だった。ほとんどの僧兵は刻まれ、肉塊へと変わった。
「何奴!」
神楽達の叫びに答えるように影が月明かりの下に姿を現した。
「我が名は可王京介…暗闇の使者」

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