ナイト・オン・ドラグーン【107】話『紅蓮の空』
『なんだって!?じゃあ”竜眼の男”は18年前に世界の危機を救った英雄、レオンだったのか!?』
マナからそう聞かされアインは驚く。
武器を取り、戦の道を歩む者なら誰でも知っているその英雄の名。
いや、恐らくは18年前の出来事を体験した全ての人々は知っているだろう。
だが、戦いが終わり、忽然と彼は姿を消してしまったという。
『そして彼の向かった先は”女神の塔”本当の意味での最後の鍵の在り処なのです』
マナはそう言うと視線を落とす。
『まさか、あいつ…”鍵”を壊しに?』
わかりません、とマナが呟く。
『18年前、世を救ったのは彼だけじゃないんです…』
『そうなのか?』
『はい、アインとレグナのように竜眼の男、レオンは朱き竜と共に戦ったと聞きます。』
『その朱き竜は…?』
『世界の崩壊を防ぐ為、自らを女神の封印として犠牲になったのです…』
『なっ…』
アインは絶句する。
レグナが鼻で笑う。
『そして、私はさらにこう考えます。私たちの壊してきた封印騎士団が守護する五つの塔はすべて、”封印の女神”となった朱き竜を繋ぎ止める為のものであったということ』
『我ら竜族の力は強力過ぎるからな…朱き竜の暴走で封印が消えるのを恐れたのかも知れん…』
変わりにレグナが答えた。
『そしてその五つの封印は恐らく、朱き竜の五感。五感さえ封じ込めれば暴走するかもしれぬ竜を押さえ付けることができる、と封印騎士団は考えたのでしょう』
『なんて酷いことを…朱き竜は人間の為に犠牲になったんだろ!?その恩を報いるなんて…』
そんな実態も知らずにのうのうと暮らしていたこの世に歯痒く感じた。
そして、それに託つけて封印という道理で人々を弾圧してきた封印騎士団を醜くく思った。
『…ふん、怪しげな風が来よるわ』
レグナが呟く。
アインが問い掛けようとした瞬間。
前方の空が赤に染まった。
巨大な火柱が上がり、爆音が空を満たした。
『い、今のは!?』
『女神の塔からです!』
『急ぐぞ!朱き竜の暴走が始まった!!』
レグナは翼に力を込めた。
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