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航宙機動部隊第二章・40

[410]  まっかつ  2007-05-29投稿
『だけどテンペさん―果たして帝国皇帝は、その案を聞きますかね』
デカニロ=ニラ=ゴンツァガ氏は、興味と疑問を同時に示して見せた。
『皇帝エタンは、中央域出身なのは公然の秘密。恐らく彼は耳を貸すでしょう。それですぐ講和になる程確かに甘くもないでしょうが、統合宇宙軍歴代指導者の中でも、我々と価値観を共に出来る最も理想的な交渉相手だと期待して良いと思います』
テンペ=ホイフェ=クダグニンは自信に満ちた補足で、奇策に充分な信憑性を与える事に成功した。
『良くやったぞ、テンペ!』
人工的な明け方の透ける様な光を浴びて、リク=ウル=カルンダハラは、平面ホロ画像を占した彼女の上身に、満足し切った笑顔を見せた。
テンペの働きは期待を遥かに上回った。
言うべき事は全て言い切り、しかも、絶妙なアドリブやタイミングの取り方で与えられた台詞を十二分に活かす事に成功したのだ。
この段階で、彼女の役割の大半は終了した。
後は予想通り懸案の太子党問題に移ったが、ここでも指示通り、少女は良心的だが控え目な聞き役に回り、余計な発言はしない事で、この件に必要以上に祖国が巻き込まれるのを上手に防止している。
そして同日午前六時、放映は無事終りを迎えたのだ―\r

最外縁の教化と移住を前提とした帝国の切り離し―\r
果たして合衆国陣営がどれだけこの提案を真面目に検討するのかは未知数だが、一つの採用し得るオプションとして認識を与えた―それだけの手応えは有ったみたいだ。
仮にその通りに行けば、誰も死なずに全てが丸く収まるだろうし、成功しなくても、時間稼ぎ位にはなるだろう。
いずれにしても、パレオス=連合艦隊サイドが損をする恐れは無いのだ。
多分水面下で計られている敵・味方の非公式な接触にこの話が持ち出される事を想像しつつ、擬似太陽光が明るみを増す中、雀達の鳴き声を子守唄に、何時しか少年は唐机に突っ伏したまま、かすかな寝息を立て始めた。

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