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素敵な恋の見つけ方16

[190]  あこん  2007-05-30投稿
「登場頻度高いけど別にヒロインではない。」
開かれた扉を前にして呟く。
俺の名は片桐篤。今現在危機にあると言ってもいい。
「ほう、噂をすれば、か。」
ニヤニヤした目で俺と来訪者を見比べるのは久保匠。よく見れば隣りに座っている日下部佳奈理も同様の顔だ。
「あ、片桐見っけ。」
時計を見れば、なるほど、二年の講習が終わる頃だ。
扉の前に笑顔で立っているのは俺を半殺しにした過去を持つ、宇崎由良先輩なのであった。
…笑顔?
見た事が無い訳ではない。だが以前見たものは獰猛な笑顔だ。恐怖の象徴。
今回はかなりにこやかで、穏やかだ。
「はいはい、ちょっとごめんよ?」
由良先輩が急に俺の体をまさぐり出す。
久保と日下部がおぉ、と声を上げるが構ってる余裕もない。
「ちょ、由良先輩、なにを!?」
「あ、見っけた。」
と、俺のズボンのポケットに手を突っ込む。あ、危ない。そこから先は…。
「うーん、よかった。」
あとちょっと、という所で由良先輩は手を引っ込める。
なんだ?
「…鍵、ですか?」
小さい。自転車の鍵だろうか。
「こないだあんたのマウント取った時に入りこんだのね。」
そして鼻歌と共に去ろうとする。
「人の体触りまくって何も無しですか!?」
言ってくれればよかったのだ。鍵入り込んでないか、とか。
「…なんか言って欲しいの?」
と、扉の前で一思案。
数秒後、俺を指差して口を開いた。
「いい夢みろよ!」
宇崎由良は去っていった。なんだ、あの先輩は。
「おい片桐。」
惚けていると、久保が話しかけてきた。
「別に普通の、人が良さそうな人物ではないか。」
「そうですよ、出会った端から殴られる、なんて信じられません。」
日下部も付いてきた。ってかその辺もさっき聞いたのだろうか。
だが、俺も不審に思う。今まで俺を痛め付けていた由良先輩とは根本的に違っていた。
そんな時、脳裏にある言葉が甦る。
『寝不足な由良に近付かない事だな…だな…だな…。』
なぜかエコー付きで。
なるほど、そういうことか。
「む、すっきりしたような顔でどうした片桐?」
「おや、大して進展も無いまま、いい時間になってしまいましたよ。」
日下部に促されて時計を見ればもう昼過ぎだ。
「ならば、街で昼食を摂りつつ会議続行だな。いいか日下部?」
「暇ですから。」
そして、やはり俺は聞かれない。

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