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外套の眩しさだけが

[140]  leaf→leaves  2007-06-01投稿
曇空の中で唯一見えていた星が見えなくなった。月はとっくに消えてお目にかかることはなかったが、その心細さを担った目のやり場はたった今無くなった。
深夜二時半を過ぎた。居候した者は、ベッドの上でいびきをかいている。居候された者は、窓の向こうを見て、落胆している。狭い部屋ではなかったのだが、住人が増えてから窮屈に思えてしょうがない。安易な気持ちで迎入れたわけでなく、それなりに検討し苦渋を覚悟した結果がこの有様だ。ついさっきの無念さを促進するのは、いびき以外の何者でもない。
よくあるフィクションなら、同棲的なイメージになるように状況を解釈するだろう。確かにこの頃、異性に飢え始めている。以前付き合っていた彼は地元で地道に働きだし、対照的に一人暮らしを選んだ私には、まだあの優しさがある。寂しさに憂して電話したとき、わざわざ泊まりに来てくれた彼の顔は今でも残る。そして、私が求める優しさを得る前に寝てしまうのが得意だった。
寝返りを打つ居候を見て懐かしくなった。地元に一度帰ろうかな、心が揺らいでしまった。だが実家には帰れない。それを物語るために、父が居候になっているのだ。母を他人に奪われた父。今や、その背中はなんだか小さい。

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