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航宙機動部隊第二章・42

[434]  まっかつ  2007-06-01投稿
既に中央域では、軍事評論家達がピンからキリまで喧喧囂囂やり出していたが、そのほとんどが不発弾に過ぎない代物ばかりなのは、【本物】の兵営国家の住民達の間では衆知の事実なのであった。
『あいつ等また、特大のビーム兵器とか、超古代のテクノロジーとか、根拠もない噂話を【発見】したとか言いたてて、帝国の完勝とか、当てにならない事ばかり抜かしているからな』
リク=ウル=カルンダハラは彼等の振る舞いを皮肉気に概括して見せた。
冗談ならば中々の出来栄えだが、長年の平和と繁栄はやはり、軍事的識見からすれば、致命的な衰退を与える要因以外の何物でもないみたいだ。
『奇襲ならば三つに絞れるかな』
カイシャンは当てになる分析を語り始めた。
『まずは、無人艦を使った自爆攻撃―まあ、帝国なら有人でもやりそうだがな。次に考えれるのは、兵力を二手に分けて、一部をパレオスないしエントレンス攻略に降り向ける。最後は時空集約航法を使って連合艦隊の哨戒圏を一挙にすり抜ける―ざっとこんな所だな』
『その中で、どれが一番公算が高いと思う?』
『全て組み合わせられる可能性も有るがなあ。だが、最初の策は使われるとしたら、恐らく精神的ダメージを与えるのが狙いとなるだろう。これだけで大艦隊を物理的に圧倒する要因たりえない。二番目の手段は成功と失敗の差が極端過ぎる。前提として完全に相手の裏をかかなければならない―諜報戦でかなりの優勢を占めない限り、作戦と言うより博打になるな』
『じゃ、三つ目のは?』
『これも技術的には困難が伴うな。特に航法管制系が余程しっかりしてないと、みすみす事故・自殺を引き起こす結果に繋り兼ねないからな』
『確か、安全運用閾値は対象質量に反比例して急激に狭まる―だったよな』
緑茶をすすりながらリクは、極初歩的な知識を持ち出して相槌代わりにした。
だが、カイシャンは意外な事を口にし出した。
『そうだ―だが、ゼロではない』
『えっ?』
『お前も知ってるだろう?誰も試した事は無いが、逆から言えば、どれだけ質量を増やしても限り無く不可能に近付くのは事実だ。だが、完全にゼロになる分けじゃない』
『ああ、まあ、そうだけど』
リクは相手の真意が冗談なのか本気なのか今だに計り切れなかった。
だが、画像に浮かぶ同胞の表情には、自分をからかっている様子は無かった。

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