らぶふぁんとむ2
生きてる時から好きだった、とは。
恵一が生きてる時ということか。
(いやいやいや、俺は死んだつもりはない。)
ならば、目の前の、というより腹の上の少女が、ということか。
「…え?あんた死んでんの?」
「はい、それはもうぽっくり。」
平然と答える少女。
「…えっと、幽霊?それともゾンビ?」
霊体か実体か、と訊きたかったのだが混乱の方が勝っていた。
「幽霊、だと思いますよ?壁抜けたし空飛べたし。」
「すげぇな。」
感嘆。幽霊って本当にいるんだ。
「いや待て、ならあんたは死んでる、て事になるな。」
「…始めに言った気がします。」
それもそうだ。恵一の記憶は定かでないが。
「えっと、すまん。俺はあんたの事を知らないんだが。」
「あ、はい。三年B組の宮田珠希(みやたたまき)と言います。」
恵一は三年A組。隣りのクラスのようだ。
「…えっと、いつ死んだんだ?」
「今日、正しくは昨日の放課後ですね。小野瀬くんに告白しよう、と後を尾けてたら軽トラが。」
「尾行はともかく、車に轢かれた?そんなの気付かなかったぞ。」
「いえ、軽トラが止まるの待ってたら小野瀬くんを見失って、気付いたら崖下に。」
「落ちたのか?大丈夫…じゃないな。死んでんだもんな。」
失言だった、と恵一は後から気付いたが珠希はニコニコと恵一を見ている。
「私を連れに来た死神の人にお願いしてとどまらせてもらいました。」
(死神なんて普通にいるのか。)
恵一は少々付いて行けなくなってきていた。何せ、深夜二時だ。眠気の方が大きいに決まっている。
「…その話はまた明日にして、寝さしてくんないか?」
「あ、そうですね。夜分に失礼しました。」
同級生にしては随分と礼儀の正しい珠希である。座っている位置は恵一の腹だが。
恵一は電気を消して、意外に興奮も無く眠りに就いた。
翌日。
(…変な夢を見た気がする。)
今日は土曜日。学校は休みなので暫く惰眠を貪ろうと寝返りを打つと、目の前に少女の顔が現れる。寝顔だ。
「おおぉぉぉ!?」
「あ、おはようございます小野瀬くん。」
「幽霊って寝るのか!?なんで同じベッドで寝てんだ!?ってか夢じゃなかったのか!?」
恵一、混乱の極みである。
「身寄りもない身ですのでどうぞよろしくです。」
「あ、いやこちらこそ…じゃなくて!」
六月の、良く晴れた朝だった。
恵一が生きてる時ということか。
(いやいやいや、俺は死んだつもりはない。)
ならば、目の前の、というより腹の上の少女が、ということか。
「…え?あんた死んでんの?」
「はい、それはもうぽっくり。」
平然と答える少女。
「…えっと、幽霊?それともゾンビ?」
霊体か実体か、と訊きたかったのだが混乱の方が勝っていた。
「幽霊、だと思いますよ?壁抜けたし空飛べたし。」
「すげぇな。」
感嘆。幽霊って本当にいるんだ。
「いや待て、ならあんたは死んでる、て事になるな。」
「…始めに言った気がします。」
それもそうだ。恵一の記憶は定かでないが。
「えっと、すまん。俺はあんたの事を知らないんだが。」
「あ、はい。三年B組の宮田珠希(みやたたまき)と言います。」
恵一は三年A組。隣りのクラスのようだ。
「…えっと、いつ死んだんだ?」
「今日、正しくは昨日の放課後ですね。小野瀬くんに告白しよう、と後を尾けてたら軽トラが。」
「尾行はともかく、車に轢かれた?そんなの気付かなかったぞ。」
「いえ、軽トラが止まるの待ってたら小野瀬くんを見失って、気付いたら崖下に。」
「落ちたのか?大丈夫…じゃないな。死んでんだもんな。」
失言だった、と恵一は後から気付いたが珠希はニコニコと恵一を見ている。
「私を連れに来た死神の人にお願いしてとどまらせてもらいました。」
(死神なんて普通にいるのか。)
恵一は少々付いて行けなくなってきていた。何せ、深夜二時だ。眠気の方が大きいに決まっている。
「…その話はまた明日にして、寝さしてくんないか?」
「あ、そうですね。夜分に失礼しました。」
同級生にしては随分と礼儀の正しい珠希である。座っている位置は恵一の腹だが。
恵一は電気を消して、意外に興奮も無く眠りに就いた。
翌日。
(…変な夢を見た気がする。)
今日は土曜日。学校は休みなので暫く惰眠を貪ろうと寝返りを打つと、目の前に少女の顔が現れる。寝顔だ。
「おおぉぉぉ!?」
「あ、おはようございます小野瀬くん。」
「幽霊って寝るのか!?なんで同じベッドで寝てんだ!?ってか夢じゃなかったのか!?」
恵一、混乱の極みである。
「身寄りもない身ですのでどうぞよろしくです。」
「あ、いやこちらこそ…じゃなくて!」
六月の、良く晴れた朝だった。
感想
感想はありません。